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IFRS適用会社の監査人、大手が圧倒的多数
(16/08/17)

 公認会計士・監査審査会はこのほど、「監査事務所の概況(平成28年版モニタリングレポート)」(以下、本資料)を公表した。

 本資料は公認会計士・監査審査会が、監査事務所検査結果事例集の参考資料として、一般向けに監査事務所の状況を情報提供するために作成した資料である。

 本資料によると、大手監査法人(有限責任あずさ監査法人、新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、PwC あらた有限責任監査法人)では、準大手監査法人(仰星監査法人、京都監査法人、三優監査法人、太陽有限責任監査法人、東陽監査法人、優成監査法人)や中小監査法人と比べて、業務収入に占める非監査証明業務(コンサルティング報酬等)の収入の割合が大きく、また、監査証明業務の収入の割合は減少傾向にあることがわかった。反対に、準大手監査法人や中小監査法人においては、監査証明業務の収入への依存度が高く、業務収入全体に占める監査証明業務の収入の割合が概ね9割を超えている。

 監査人の交代により監査報酬の額がどのように変更するかについては、現在の監査人より規模の大きい監査事務所へ交代する場合には、監査報酬は据え置かれるか、または増加するケースが多いこともわかった。一方、規模の小さい監査事務所へ交代する場合には、監査報酬が減少するケースがほとんどであった。監査事務所の規模と報酬に相関関係があることがわかる。なお、同程度の監査事務所へ交代する場合には、約半数において監査報酬が減少している。

 また、IFRSを適用している上場会社85社の内訳を監査人の規模別にみた結果、81社が大手監査法人、2社が準大手監査法人、2社が中小監査法人であることもわかった。IFRSのような専門性の高い領域は大手監査法人の独壇場と言える。

 本資料では、その他、監査法人制度、監査事務所に対する審査及び検査制度、監査法人数の推移、社員・常勤職員の人員数の推移、業務収入等の状況、監査法人グループの状況、国際的なネットワークへの所属状況等がコンパクトにまとめられている。監査人と日常的に接するCFO、経理部やIR担当者はぜひ一読しておきたい。


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