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オプションの時間的価値の会計処理も削除・修正へ
(16/07/25)

 企業会計基準委員会(ASBJ)が検討している修正国際基準(JMIS)の改正案だが、オプションの時間的価値の会計処理についても「削除又は修正」する方向であることがわかった。同委員会が3月17日に公表した公開草案での修正項目は、公正価値ヘッジ及びキャッシュ・フロー・ヘッジ会計におけるベーシス・アジャストメントの2項目となっており、オプションの時間的価値を含めると3項目となる。

 企業会計基準委員会は3月17日、修正国際基準公開草案第2号「修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)」の改正案を公表。公開草案では、IFRS第9号の「OCIオプションが適用された資本性金融商品に対する投資をヘッジ対象とした公正価値ヘッジにおける会計処理」及び「キャッシュ・フロー・ヘッジの会計処理(ベーシス・アジャストメント)」の2項目について「削除又は修正」することとし、5月31日まで意見募集を行っていた。

 公開草案に対しては、オプションの時間的価値の会計処理に関しても「削除又は修正」すべきとの意見が寄せられていた。IFRS第9号(2013年)においては、将来の商品購入等をヘッジ対象とする一定の場合で、オプションの本源的価値の変動をヘッジ手段に指定しているときには、当該オプションの時間的価値の変動をその他の包括利益に認識することとしている。また、その後に非金融資産又は非金融負債等の認識を生じる場合に、累積されたその他の包括利益累計額を取引費用と同様に当該資産又は負債の当初原価又はその他の帳簿価額に含めることとされているが、その際、包括利益計算書でその他の包括利益を認識せずに、直接、当該原価又はその他の帳簿価額に含めることとされている。

 この会計処理は、今回の公開草案で「削除又は修正」の対象となっているキャッシュ・フロー・ヘッジ会計におけるベーシス・アジャストメントと同様の会計処理となっているため、オプションの時間的価値の会計処理についても、包括利益計算書のその他の包括利益を通して行うように「削除又は修正」することとしている。

 そのほか、公開草案で「削除又は修正」すべきとされている「OCIオプションが適用された資本性金融商品に対する投資をヘッジ対象とした公正価値ヘッジにおける会計処理」については、「削除又は修正」する方法として、時価ヘッジと同様の方法を許容すべきとのコメントが寄せられている。しかし、この点については、リサイクリングの必要性に焦点をあてるなどの理由により、公開草案で示した通り、時価ヘッジと同様の方法は認めないとしている。


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