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税率変更の注記、「従来の税率」とはいつの税率?
(16/05/17)

 2016年3月期の決算作業が山場を迎えている。今決算では税率変更があったことから、税効果会計注記として税率変更の注記が必須になる。財規では、「法人税等の税率の変更により繰延税金資産及び繰延税金負債の金額が修正されたときはその旨及び修正額」を注記しなければならないとされている(財規8条の12第1項3号)からだ。なお、計算書類規則には財規8条の12第1項3号に相当する規定がないことから、会社法計算書類での開示は必須ではない。

 この修正額は、今期末の一時差異に「従来の税率」と「変更後の税率」を乗じて、「従来の税率」による繰延税金資産及び繰延税金負債の額と「変更後の税率」による繰延税金資産及び繰延税金負債の額を比較して求める。ここで気になるのが、「従来の税率」の「従来」とはいつの時点を指すか、である。これはあくまで今期以降の一時差異につき同一の解消年度で比較したところの「従来」の率である。例えば1年以内に解消される一時差異の場合だと、2016年4月から2017年3月の間に解消される一時差異について、前期の同一期間(2016年4月から2017年3月まで)に適用していた税率と今期新たに適用される税率を比較することになる。「従来の税率」は前期(2015年3月期)に2015年4月から2016年3月までに解消される一時差異について適用していた税率ではないことに注意したい。



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