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固定資産計上額に利息を含めることの是非
(16/02/22)

 借り入れにより調達した資金で固定資産を購入した場合、借入金の利息を固定資産計上額に含めることは、会計上可能なのだろうか?答えは「一定の条件の下でなら可能」である。「一定の条件」とは、「自家建設の場合で、かつ、建設に要する借入資本の利子で稼働前の期間に属するもの」という条件だ(連続意見書第三「有形固定資産の減価償却について」)。すなわち、自ら建設する固定資産と借入金がひも付きになっている場合に、稼働前の期間の利息であれば、固定資産計上額に含めることができる。

 逆に言えば、購買のような「自家建設でない固定資産の取得」であれば、たとえその固定資産の購買と借入金がひも付きであったとしても、利息を固定資産計上額に含めることはできない。もちろん、税務は利息の固定資産計上額への算入を認めているが、上場会社であれば税務決算によることはできないのは周知のとおり。

 実際、「みんなで大家さん」を運営している都市綜研インベストファンド株式会社が固定資産の取得原価に利息等を含めていたところ、平成25年5月に大阪府より、貸借対照表・損益計算書が不適切であるとして、不動産特定共同事業法に基づき「不動産特定共同事業契約の締結、締結の代理又は媒介をする行為及び不動産特定共同事業契約の締結を勧誘する行為」を60日間停止する旨の処分を受けている。不動産特定共同事業を営んでいなくても、考え方は同じである。会計処理を間違えないよう、くれぐれも注意したいところだ。



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