一株当たり当期純利益の算定に際して、分母には期中平均株式数を用いる必要がある。なぜなら、分子である利益が一定の期間に獲得したものである以上、分母の「株式数」も一定期間の平均値を用いるべきであるから。もっとも、期中に株式数の増減がなく、自己株式もない場合は、期末の発行済株式総数と期中平均株式数が一致するので、一株当たり当期純利益の算定に際して、期末の発行済株式総数を用いても支障は生じない。しかし、そのやり方に甘んじてしまうと、増資や自己株式を取得した年度に思わぬ計算ミスを犯しかねないので、注意が必要だ。 期中平均株式数は、「期中平均発行済株式数」から「期中平均自己株式数」をマイナスして算定する。増資があれば「期中平均発行済株式数」が増える。また、自己株式を取得すれば「期中平均自己株式数」が増える。原則は日数基準(日数に応じて平均)だが、月数基準(発行・取得時から期末までの残りの月数で平均値を求める方法や各月の月末の値を平均する方法)も認められている(1株当たりの当期純利益に関する会計基準の適用指針13項)。 そこで、次のような開示プロセスに係る内部統制を構築しておくべきである。
担当者の変更時に増資や自己株式取得があると、計算ミスが起きやすい。平時からミスを減らすための体制づくりが必須と言える。 |
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