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電子帳簿保存法によるスキャナ保存後の原本の扱い
(15/11/19)

 平成27年度税制改正に伴い、平成27年3月31日付けで電子帳簿保存法施行規則が改正された。これにより、スキャナ保存を行うことができる書類に関して従来定められていた「3万円未満」という金額基準がなくなり、すべての契約書、領収書等についてのスキャナ保存が可能となった。平成27年9月30日以後に申請し、税務署長の承認が下りた会社に適用される。

 スキャナ保存した後は、税法上は原本の破棄も可能である。そうなると、困るのが会計士や内部監査人などの監査人だ。監査人が領収書などをチェックする際に、数字のペンの色味、筆圧の痕跡、インクのテカリ具合、紙質、ホッチキスの跡などに微妙な違和感を感じたことが、不正発覚のきっかけになったケースは少なくないからだ。そういった微妙な違和感を、スキャナで保存したデータ(PDF)から感じとることは非常に困難だ。

 こういった事態を踏まえて、日本公認会計士では、「監査上必要と判断される金額以上の契約書など、重要な監査証拠となり得る書類の原本を、監査に必要な期間、保存することの必要性に関して、被監査会社と事前に十分協議することが適切と考えられる。」としている。

 税務署に電子帳簿保存を申請した会社や申請予定の会社では、会計士や内部監査人と原本保存の必要性を協議して、各書類の原本保存期間を定めておくべきと言えよう。



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