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JMIS関連で連結財規等が改正
(15/09/16)

 金融庁は9月4日、連結財務諸表規則の改正を公表した(同日付で施行)。今回の改正は、企業会計基準委員会(ASBJ)が6月30日に公表した修正国際基準〈国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準〉を制度会計で適用可能とするための改正。これにより、修正会計基準第1号「のれんの会計処理」と修正会計基準第2号「その他の包括利益の会計処理」を有価証券報告書の【経理の状況】などのいわゆる制度会計で適用することが可能となった。

 修正国際基準はJMIS(“Japan's Modified International Standards”の略)と称されるもので、のれんの会計処理など我が国の会計基準とIFRSとの間で折り合いのついていない論点だけIFRSを修正したもの。IFRSに関する意見発信の一環として取りまとめられたという経緯がある。修正国際基準は、我が国で作成された企業会計の基準ではあるものの、連結財務諸表等を作成するにあたり「適用の一般原則」となる「我が国において『一般に』公正妥当と認められる企業会計の基準」には該当しない取扱いが行われている。すなわち、法令の要件(連結財務諸表規則第1条の3等)を満たす株式会社が、「適用の特例」として任意に適用できる企業会計の基準とされている。そのため、修正国際基準関連の規定は現行の指定国際会計基準(本物のIFRS)と同様に、連結財規の「第7章 企業会計の基準の特例」に配置されている。

 IFRSを採用することのメリットの一つに、のれんの定期的償却が不要という点がある(ただし減損は必要)。修正国際基準ではのれんの定期的償却が必要になるだけに、IFRSでなくあえて修正国際基準を適用する企業がどれほど出てくるのか未知数。しばらくは大半の企業が様子見と言えよう。



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