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繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針案が公表
(15/06/17)

 企業会計基準委員会(ASBJ)は5月26日、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(案)」を公表した。公開草案の段階であるが、繰延税金資産計上の実務を変更する可能性があるだけに要注意だ。

 これは、日本公認会計士協会における監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」(以下、66号)等の会計処理に関する部分を、ASBJに移管すべく審議を重ねてきた結果を取りまとめたもの。本公開草案では議論の整理のために、実務指針改正案そのものに加えて、いくつかの質問を準備し、それについての回答も募集するという形式の公開草案となっている点が特徴的だ。

 66号では会社を5つに分類していたが、本公開草案でもそれを基本的に踏襲している。ただし、分類2及び分類3の会社について、「経常的な利益(損益)」という会計上の利益に基づく要件としていたのに対し、本公開草案では、「臨時的な原因により生じたものを除いた課税所得」に基づく要件に変更されている。さらに、分類3に該当する企業においては、5年を超える見積可能期間においてスケジューリングされた一時差異等に係る繰延税金資産が回収可能であることを合理的に説明できる場合、当該繰延税金資産は回収可能性があるものとする改正案になっている。

 なお、本適用指針案が確定し適用がスタートした初年度においては、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱われることになる。ASBJで企業側の委員が主張した「会計上の見積りの変更」説は、質問項目にも掲げられておらず、押し切られた格好だ(2015年5月18日のニュース『新税効果適用指針の適用は「会計方針の変更」に該当』を参照)。

 ASBJでは7月27日までパブコメを募集している。



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