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新税効果適用指針の適用は「会計方針の変更」に該当
(15/05/18)

 企業会計基準委員会が5月中にも公表する予定の「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」の公開草案だが、その適用の取扱いが明らかとなった。当初の事務局提案どおり、会計基準等の改正に伴う「会計方針の変更」として取扱うこととしている。また、適用初年度については、遡及適用を行わず、その上で当該年度の期首時点で新たな会計方針を適用した場合の繰延税金資産及び繰延税金負債の額と前年度の繰延税金資産及び繰延税金負債の額との差額については当該期首の利益剰余金に加減する。企業側が主張する「会計上の見積りの変更」にはならず、損益に計上することができないため、企業の反発は必至の状況だ。

 企業会計基準委員会が5月中にも公表する予定の適用指針案は、平成28年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用される。早期適用も認められる方針であり、3月決算会社の場合には、平成28年3月期から適用が可能になりそうだ。

 適用指針案の適用の取扱いについては、企業会計基準委員会の事務局が会計基準等の改正に伴う「会計方針の変更」として取り扱うことを提案。これに対し企業側は、今回の適用指針はこれまでの監査上の取扱いの運用の見直しを行ったものにすぎないため、「会計上の見積りの変更」に該当し、その影響額は損益計算書に計上すべきと主張していた。

 この企業側の意向を受け、事務局は再度検討を行ったものの、企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」では、「会計基準等の改正には、既存の会計基準等の改正又は廃止のほか、新たな会計基準等の設定が含まれる」(同会計基準第5項(1))としており、この「会計基準等」には企業会計基準委員会が公表した適用指針や実務対応報告が含まれることなどから、今回の適用指針案について新たな会計基準等の改正に伴う「会計方針の変更」ではないと説明することは困難としている。

 このため、公開草案では、当初の事務局提案どおり「会計方針の変更」とする方向となっている。ただし、この点については公開草案に質問項目を設けて改めて意見を聴取する予定としている。また、適用初年度の取扱いについては、遡及適用を行わず、その上で当該年度の期首時点で新たな会計方針を適用した場合の繰延税金資産及び繰延税金負債の額と前年度の繰延税金資産及び繰延税金負債の額との差額については当該期首の利益剰余金に加減することとしている。



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