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税効果会計、改正税法が3月末までに公布なら新税率で
(15/03/18)

 平成27年度税制改正では、法人実効税率の引下げが行われる。税効果会計で適用される税率については、期末日現在で公布されている税法規定に基づいて算定したものとされるが、地方税の改正に関しては各地方自治体の条例の改正が3月末までに公布されない事態もあり得る。新旧どちらの税率を適用すべきか疑問が生じるところだが、この場合、改正条例が3月末までに公布されなかったとしても新税率を適用することになる。

 平成27年度税制改正では、法人実効税率の引下げが行われる。国・地方を通じた法人実効税率は、現行34.62%(標準税率)から平成27年度に32.11%に、平成28年度に31.33%に引き下げられることになる。

 税効果会計に適用される税率については、期末日現在で公布されている税法規定に基づいて算定したものとされている(会計制委員会報告第10号「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」第18項)。したがって、3月決算会社の場合、3月末までに改正税法が公布されていれば、改正後の税率を適用することになる。

 しかし、問題は地方税法の改正だ。地方税に関しては、改正地方税法が公布された後に各地方自治体の改正条例が公布される運びとなるため、時間的に3月末までに条例が公布されない事態も想定される。実際、「地方法人税」が創設された平成26年度税制改正では、地方法人税法及び地方税法等は3月31日に公布されたが、施行が平成26年10月1日だったこともあり、各地方自治体の改正条例は3月末までに公布されなかった。ただ、地方税と国税を合わせた税負担は従来と変更がなかったため、改正地方税法等の改正前の住民税率及び事業税率に基づいて算定した法人実効税率でも改正後の新税率を踏まえたものであっても基本的には認められていた。

 今回の平成27年度税制改正では、昨年度とは異なり3月末までに改正税法が公布されていれば、地方税に係る各地方自治体の改正条例が公布されていなかったとしても、新税率を適用して法人実効税率を算定することになる。

 なお、超過税率に関しては3月末時点では未定であることも想定されるため、現行の超過税率で算定することになる。例えば、東京都の場合であれば、平成27年4月1日〜平成28年3月31日までは33.10%、平成28年4月1日以後に開始する事業年度であれば32.34%となる。



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