財務報告関連実務ニュース


平成25年度の有価証券報告書レビュー結果が公表
(15/02/23)

 金融庁は2月10日、「平成25年度有価証券報告書レビューの重点テーマ審査及び情報等活用審査の実施結果について」を公表した。これは平成25年度の有価証券報告書レビューのうち、「重点テーマ審査」及び「情報等活用審査」の実施結果の概要を取りまとめたもの。

 これによると、有価証券報告書レビューの結果、概ね適切に開示がなされていることが確認されたものの、一部の会社において、以下のように有価証券報告書の記載または質問に対する回答に適切ではない事例があったとされている。

<企業結合及び事業分離等>

のれん及び負ののれんの発生原因について、具体的な内容を全く記載していない事例
企業結合が期首に完了したと仮定したときの連結損益計算書に及ぼす影響の概算額について、算定が困難と認められる特段の事情がないにもかかわらず、記載していない事例
・実施した事業分離等について、注記が全くなされていない事例

<固定資産の減損>

営業活動から生ずる損益が継続してマイナスになっている等、減損の兆候について慎重な検討を要する状況にあるにもかかわらず、企業独自に設定した基準を適用すること等により、十分な検討を行わないまま減損の兆候が無いものと判断し、その後の検討を省略している事例
減損損失を認識するかどうかの判定に際して見積られる将来キャッシュ・フローについて、将来の大幅な損益改善を見込んでいるものの、その根拠が十分に説明されない事例
回収可能価額(正味売却価額あるいは使用価値)の算定方法の記載が十分でなく、計上した減損損失の金額の根拠が読み取れない事例
減損損失等を認識した固定資産(のれんを含む)の内容が不明瞭な事例(連結子会社株式の減損に伴うのれんの一括償却であって、減損ではないという理由で、当該損失の内容を注記していない事例を含む)

<子会社の範囲>

子会社の範囲の決定に当たって、緊密な者等が所有する議決権が考慮されておらず、本来は子会社となるべき会社が連結の範囲から漏れている事例

<金融商品>

合理的な理由なく、保有している金融商品の全体でなく、一部についてのみ注記対象としている事例
為替予約取引等の時価として、当該為替予約等の契約額の期末日における評価額を記載している事例

<引当金>

固定資産の除却に関する引当金:減価償却費や減損損失として認識すべき額と、当該引当金で認識する損失の範囲の違いが明瞭に記載されていない事例
将来の事象(災害等)への対策に関する引当金:将来でなく当期の費用として認識する根拠が明瞭に記載されていない事例

<重要性>

・質的重要性(当該事項の性質等)について全く考慮していない事例
金額的重要性について単一の指標のみ(例えば、総資産に対する一定比率のみ)を検討し、その他の指標について全く検討していない事例

<特別損失>

特別損失に属する損失について、事業整理損失や事業構造改善費用といった抽象的な科目名によって掲記しているにもかかわらず、その内容を理解するために必要注記がなされていない事例

(特別損失の「その他の項目」について、損益計算書上の科目名によるだけでは、その発生原因又は性格を示すことが困難な場合には、注記によって記載する必要がある。また、特別損失の内容として開示すべき事項は、損益計算書における計上科目名等によって判断されるべきでなく、当該損失の実質的な内容に応じて判断されるべきである)



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