財務報告関連実務ニュース


平成26年3月期有報の法令改正関係審査結果が公表
(15/02/23)

 金融庁は2月10日、「平成26年3月期有価証券報告書の法令改正関係審査の実施結果」を公表した。これは平成26年3月期の有価証券報告書に対する「法令改正関係審査」の審査結果を取りまとめたもの。今回は退職給付関係の改正事項が対象。審査の結果、下記のような不適切な開示が散見されたとしている。今後留意すべき事項として、活用したいところだ。


「退職給付に係る負債」および「退職給付に係る資産」の記載について

 「退職給付に係る負債」および「退職給付に係る資産」については、当該負債または資産を示す名称を付した科目をもって掲記しなければならない。また、「負債及び純資産の合計額」または「資産の総額」の1%以下の場合であっても、他の項目に属する負債または資産と一括して表示することができない。

 この点、「退職給付に係る負債」については、ほぼすべての審査対象会社において連結貸借対照表の「固定負債」の項目に区分して記載されていたものの、「退職給付に係る資産」について、「資産の部」の「投資その他の資産」の項目に区分して記載されていない事例があった(12社)。


確定拠出制度を採用している場合の「確定拠出制度の概要」及び「確定拠出制度に係る退職給付費用の額」

 確定拠出制度を採用している場合には、「確定拠出制度の概要」と「確定拠出制度に係る退職給付費用の額」のそれぞれを注記しなければならない。

 この点、両方記載されていない事例(7社)や、「確定拠出制度の概要」のみが記載されていない事例(1社)、「確定拠出制度に係る退職給付費用の額」のみが記載されていない事例(13社)があった。


複数事業主制度を採用時に連結会社の年金資産の額を合理的に算定できる場合

 複数事業主制度を採用している場合で、連結会社における年金資産の額を合理的に算定できる場合、複数事業主制度の概要等を、「確定給付制度に基づく退職給付に関する注記」に含めて記載することができることとなっており、この場合には、「その旨」を記載しなければならない。

 この点、記載されていない事例があった(11社)。


複数事業主制度を採用時に連結会社の年金資産の額を合理的に算定できない場合

 複数事業主制度を採用している場合で、連結会社における年金資産の額を合理的に算定できない場合、イ)複数事業主制度の概要、ロ)複数事業主制度に係る退職給付費用の額、ハ)複数事業主制度の直近の積立状況、二)複数事業主制度の掛金、加入人数又は給与総額に占める連結会社のこれらの割合を記載することとされ、ハ)及びニ)の注記にあたってはこれらに関する補足説明も記載することとなっている。

 この点、「イ」及び「ロ」の両方が記載されていない事例(25社)や、「ロ」が記載されていないケース(18社)があった。



財務報告関連実務ニュース一覧へ