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修正国際基準案に賛成意見多数も一部に反対意見
(14/12/15)

 企業会計基準委員会(ASBJ)は、10月31日まで意見募集を行っていた「修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)(案)」に寄せられたコメントについて検討を開始した。修正国際基準の開発を支持する意見が多数寄せられた一方、4基準の並存に異議を唱える意見もあった。また、のれん・その他包括利益の会計処理の修正に賛同意見が多数あったが、のれんの20年償却に反対する意見も寄せられている。

 公開草案に対しては、IFRSのエンドースメント手続の実施又は修正国際基準の開発を支持するとの意見が日本公認会計士協会、日本経済団体連合会など多数から寄せられた。その一方、日本貿易会、日本建設業連合会からは、修正国際基準、日本基準、米国基準、IFRSの4つの会計基準が並存することは財務諸表利用者の利便性が低下するなど、問題があるとの指摘がなされている。

 公開草案では、のれんの会計処理に関しては、IASBののれんの会計処理及び開示に関する規定を削除又は修正を行っている。この点については、日本証券アナリスト協会、日本公認会計士協会、生命保険協会、日本経済団体連合会などから同意するとの意見が寄せられた。

 ただし、償却年数の上限を20年とした点に反対する意見があった。例えば、日本公認会計士協会などは、「旧IAS第22号及び日本基準を踏襲する意義はない」などとし、あらた監査法人は、「のれんの効果が及ぶ期間は各企業の状況により判断されるべきものであるので、年数の上限を明示する必要はない」などとしている。

 また、その他の包括利益の会計処理については、「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品への投資の公正価値の変動」「純損益を通じて公正価値で測定する金融負債の発行者自身の信用リスクに起因する公正価値の変動」「確定給付負債又は資産(純額)の再測定」に関して、ノンリサイクリングとしている規定を削除又は修正し、リサイクリングするようにしている。この点については、日本証券アナリスト協会や日本経済団体連合会など、多数から同意する意見が寄せられた。

 その一方では、新日本有限責任監査法人からその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資産性金融商品への投資に関してIAS第39号をベースとして減損処理を行うという提案について、IFRS第9号が適用されるとIAS第39号が廃止されるなどの理由から支持しないとの意見も聞かれている。



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