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女性役員の比率開示で開示府令が改正
(14/11/17)

 金融庁はこのほど、改正「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」を公布した。これは、有価証券報告書の【役員の状況】に「役員の男女別の数」と「役員のうち女性の比率」について記載を求めるというもの。安倍政権の女性活躍推進政策に沿う改正である。

 なお、女性の人数の集計対象はあくまで「役員」(取締役、会計参与、監査役若しくは執行役又はこれらに準ずる者)であり、「管理職」ではない。また、各役員の氏名の横に性別を記載することが求められているわけではなく、あくまで男女別の人数と女性の比率の開示となっている。この点、パブコメでは「男女それぞれの比率を記入する書式にしなければ、「男性であることが普通で、女性は少数派」といった考えを無意識に裏付けてしまう。」といった点も指摘されていたが、当初の改正案のまま施行されることになった。

 委員会設置会社では取締役が執行役を兼ねることも認められているが、その場合は取締役及び執行役の男女別人数及び女性の比率をまとめて記載することで足り、役員の総数と男女別人数を数えるにあたっては、取締役と執行役とを兼任している者については、2名ではなく1名の役員として換算されることとされた(パブコメに対する金融庁の回答)。

 また、有価証券報告書を当事業年度に係る定時株主総会前に提出する場合で、役員の選任に関する議案の内容と併せて、定時株主総会における議案が承認可決されたと仮定した場合の役員の男女別人数及び女性の比率を記載することになる。

 なお、開示が必要になるのは有価証券届出書提出会社の役員であり、会社法上の役員に該当しない「執行役員」は対象外となる。また、子会社の役員についても同様だ。これに関して「「執行役員を含む」、かつ、「主要な子会社を含む」という別な基準によることをご検討いただきたい」といったパブコメが寄せられていたものの、金融庁では当初の案を踏襲しつつ、「役員の状況の表の欄外に、法令上の役員に該当しない、いわゆる執行役員等に関する情報又は主要な子会社の役員に関する情報などを追加して記載することは可能」と回答している。

 改正後の規定は、平成27年3月31日以後に終了する事業年度を最近事業年度とする有価証券届出書及び当該事業年度に係る有価証券報告書から適用される(四半期の場合、平成27年3月31日後に開始する事業年度に係る四半期報告書から適用)。本改正により、女性登用の『見える化』が促進されることが期待されている。一方、パブコメでは「女性役員が増えることで、ワークライフバランス、育児や介護休暇の利用率が良くなったり、社員のうつ病が減少、業績が上がったというようなデータを今後取り、公表してほしい」といった意見も寄せられており、開示する側からは「今後どこまで開示がエスカレーションしていくのか」と不安視する声も聞かれている。



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