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IFRS適用企業の子会社吸収合併でASBJが見解
(14/08/21)

 企業会計基準委員会(ASBJ)の実務対応専門委員会は、IFRSを任意適用している親会社が子会社を吸収合併する場合、連結上の帳簿価額を個別財務諸表において「適正な帳簿価額」として引き継ぐことは適切ではないとの見解を取りまとめた。

 IFRSを任意適用する企業が増えつつある中、これに伴い会計処理に関して疑義が生じてきているケースがある。その1つがIFRSを任意適用している親会社が子会社を吸収合併する際、連結上の帳簿価額を個別財務諸表において引き継ぐことができるかどうかだ。監査人から疑義が生じていたもので、財務会計基準機構(FASF)の基準諮問会議(会計基準の検討テーマなどを審議する機関)が今後の会計基準の検討テーマになるか否か実務対応専門委員会に評価を依頼していたものである。

 この点、仮にIFRSにおける連結上の帳簿価額を個別財務諸表上において「適正な帳簿価額」として引き継ぐ場合には、日本基準とIFRSで会計処理に差異がある項目について、そのままの残高で引き継ぐことになる。例えば、企業結合で取得したのれんや耐用年数を確定できない無形資産については、非償却のベースでの残高で引き継ぐことになる。

 しかし、親会社が子会社の支配を獲得した時点における資産及び負債の時価に基づいて算定された金額をベースとしている点では整合的な面もあるが、企業結合における資産・負債の認識が日本基準とは異なる可能性があること、また測定値も異なる可能性があることから、整合的でないと指摘。また、子会社化した後に当該会社を吸収合併した場合には、子会社化した時点の企業結合に関する会計処理及びその後の会計処理はIFRSに準拠して行われるため、子会社化することなく吸収合併し日本基準により会計処理する場合とは金額が異なる可能性があるなどとした。

 したがって、親会社が子会社を吸収合併する際、IFRSにおける連結上の帳簿価額を個別財務諸表において「適正な帳簿価額」として引き継ぐことは適切でないとの見解を取りまとめている。この見解を受け、基準諮問会議では新たな検討テーマとはしないこととしている。



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