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新リース会計実務対応報告は2段階で公表
(14/07/17)

 企業会計基準委員会(ASBJ)はこのほど、実務対応報告となる「リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける借手の会計処理等に関する実務上の取扱い」を公表した。公開草案からの大きな変更はない。実務対応報告は公表日以後適用される。ただし、契約内容を変更した場合の再判定における会計処理については、今後、改めて公開草案を公表することとされた。

 今回の実務対応報告は、平成26年1月20日施行の産業競争力強化法に盛り込まれたリースを使った新しいスキームの会計処理を定めたもの。内容面での大きな変更はないが、5月7日まで意見募集を行っていた公開草案には、リース取引の契約内容が変更された場合の再判定における会計処理を示すべきとの意見が複数寄せられていた。

 当初、企業会計基準委員会の事務局では、現行のリース会計適用指針で特段の定めのない再判定の取扱いを示すことは実務の混乱を招くなどとして、契約内容が変更された場合の再判定における会計処理を示すことには消極的であったが、最終的には意見を受け入れ会計処理を示す方向となっている。

 ただし、再判定の会計処理の取扱いを定めるにはある程度の時間を要するため、今回の実務対応報告には盛り込まれないこととされた。すでに産業競争力強化法は施行され、先端設備等投資支援スキームも実施されていることを踏まえ、まずは、基本となる会計上の取扱いを定めることを優先したものである。したがって、再判定の会計処理は改めて検討し、公開草案を公表する運びとなっている。

 その他の会計処理については公開草案からの大きな変更はない。従来の取引と同様、ファイナンス・リース取引に該当するかどうかの判断は、リース適用指針第5項の要件に基づき、具体的な判定はリース適用指針第9項により行うことになる。また、再リースに係るリース期間を解約不能のリース期間又はリース料総額に含めるか否かの判断も、他のリース取引と同様となっている。リース適用指針第11項及び第12項により行うことになる。

 その他、今回のスキームに係る変動リース料は、リース取引開始日において、借手により示されている合理的な想定稼働量を基礎とした金額により、リース会計基準及びリース適用指針に定める「リース料総額」に含めて取り扱うことになる。

 開示に関しては、今回のスキームのうち、変動型又はハイブリッド型についてオペレーティング・リース取引と判定された場合は、リース会計基準第22項に定める解約不能の未経過リース料の注記に、貸借対照表日における借手による合理的な見積額に基づく変動リース料の未経過分を含めることになる。なお、今回の実務対応報告に定めのない事項については、リース会計基準等の定めに従って開示することになる。



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