財務報告関連実務ニュース


日本版IFRS、
修正項目は「のれん」と「リサイクリング」
(14/06/16)

 企業会計基準委員会(ASBJ)は、現在、日本版IFRS(エンドースメントされたIFRS)を策定しているが、「のれんの非償却」「OCIのリサイクリング及び当期純利益に関する項目」の2項目はIFRSを修正する方向で最終調整していることが明らかとなった。修正等する場合は直接関連する規定のみで、のれんの減損テストなどの関連規定は修正等しないとしている。

 現在、企業会計基準委員会は「IFRSのエンドースメントに関する作業部会」において、日本版IFRSを策定中だが、国際会計基準と日本の会計基準との大きな差異となっているのが「のれんの非償却」及び「OCIのリサイクリング及び当期純利益に関する項目」の取扱いだ。

 これらの点について、同委員会は、日本版IFRSにおいては「削除又は修正」する方向で最終調整に入っている。「削除又は修正」については必要最小限にとどめるとの観点からこの2点に絞った形だ。また、「削除又は修正」する場合には、直接関連する規定のみ行う予定。例えば、「のれんの非償却」に関していえば、毎年ののれんの減損テスト、企業結合で取得した無形資産の識別、耐用年数を確定できない無形資産といった関連規定は修正等しない。当初は関連規定も見直す方針だったが、できる限り修正等は最小限にすべきとの意見を踏まえた形となっている。

 その他の大きな会計基準の差異である「公正価値測定の範囲」及び「開発費の資産計上」の修正等は行わない。前者は「有形固定資産、無形固定資産の再評価モデル」及び「投資不動産の公正価値モデル」は原価モデルの選択が可能であるため、「削除又は修正」する必要性が高くないからだ。また、「非上場株式の公正価値測定」についても大きな懸念は生じておらず、実務的な対応が可能と判断している。

 後者の「開発費の資産計上」についても、資産計上するかどうかの判断には一定の実務負担が生じるものの、日本でIFRSを任意適用しているほとんどの企業では、開発費を資産計上しないとの判断を行っているなど、実務的な対応方法が一定程度蓄積していることからIFRSを受け入れる方向となっている。



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