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地方法人税創設で法定実効税率はどうなる?
(14/04/17)

 地方法人税法及び地方税法等の一部を改正する法律が3月31日に公布された。これにより、平成26年10月1日以後開始する事業年度から地方法人税が導入される。地方交付税の財源を確保するのが目的だ。これに関して、3月27日に企業会計基準委員会(ASBJ)が開催され、平成26年度地方税制改正に伴う税効果会計の対応が審議された。そこでは、地方法人税導入により法定実効税率は「法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)+事業税率」を「1+事業税率」で除して算定されることになるとしている(事業税率には、地方法人特別税が含まれる。以下、同様)。

 法定実効税率は、現在のところ「法人税率×(1+住民税率)+事業税率」を「1+事業税率」で除して算定されている。上記の議事では「今回の地方税制改正においては、住民税率(標準税率及び制限税率)の引下げ幅と創設される地方法人税率が一致しているため、上記の算出式に基づいても、算出される法定実効税率には原則として影響が無い」としている。今回の地方税法等改正法の趣旨は「地域間の税源の偏在性の是正」にあり、「地方税と国税を合わせた税負担は変わらない」ことから、原則として法定実効税率に変更はないというわけだ。

 さて、税効果会計で適用する税率は決算日現在における税法規定に基づく税率によるとされているところ、各地方自治体の改正条例が平成26年3月末までに公布されない場合、平成26年3月末決算において、平成26年10月1日以後開始する事業年度以降に解消が見込まれる一時差異等に係る繰延税金資産及び繰延税金負債の計算にあたり、法定実効税率の算出上、住民税及び事業税について改正前の税率か、それとも改正後の税率か、いずれを使用するべきかが問題となる。

 この点、上記の議事では次のように整理している。

連結納税制度を適用していない企業においては、下記のいずれかの法定実効税率を適用する。

(a) 地方法人税の税率を含めず、地方税法等改正法の改正前の住民税率及び事業税率に基づいて算定した法定実効税率

(b) 地方法人税法の税率及び地方税法等改正法による標準税率の増減を織り込んだ住民税率及び事業税率を用いて算出した法定実効税率

連結納税制度を適用している企業においては、上記の(b)の法定実効税率

 ASBJでは、実務対応報告第5号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)」及び実務対応報告第7号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その2)」について半年以内に見直す予定。そこでは、10月1日以後開始する事業年度に係る地方法人税の繰延税金資産の回収可能性の判断について、法人税と同様の具体的手順の記載が行われる予定だ。



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