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社外取締役の数と監査報酬は比例する
(14/03/18)

 日本公認会計士協会は3月10日、「2014年度版 上場企業監査人・監査報酬実態調査報告書」を公表した。

 これによると、他の条件が等しい限り、社外取締役が相対的に多い企業ほど、監査報酬を支払っているといった分析結果が示されている。社外取締役はコーポレート・ガバナンスの意識が高いことが背景にあるという分析が示されている。換言すると、社外取締役は自己のリスクをコントロールするために、監査法人による監査を充実させたいという意識が働くとも言えよう。

 注目すべきは米国と日本企業における監査報酬の比較である。これによると、2012年度の米国の平均監査報酬は214百万円(1ドル100円で換算)であるのに対し、同時期の日本企業(3月決算企業に限定)の平均監査報酬は56百万円に過ぎないことがわかった。しかも、前年度比は米国が3.55百万円増であるのに対し、日本企業の場合0.12百万円減となっている。監査報酬の高いグローバル企業が米国の方が多いという点も理由にあると思われるが、中央値も2倍以上(日本企業33百万円に対し米国企業70百万円)となっている。

 監査報酬は有価証券報告書で開示されている。開示の趣旨は、もともとは非監査報酬のあぶりだしに主眼があったのだが、監査報酬が相対的に少ない上場会社は、投資家から監査に後ろ向きな企業というレッテルをはられる可能性もある。おりしも、東証が上場会社に社外取締役の選任努力を課したばかり。監査報酬が米国並みとはいかないまでも、一定程度上昇することを投資家も期待していると言えよう。



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