財務報告関連実務ニュース


日本版IFRS、四半期開示は修正なし
(14/03/18)

 企業会計基準委員会(ASBJ)は現在、エンドースメントされたIFRS(国際会計基準)、いわゆる日本版IFRSの開発を行っているが、四半期開示については削除又は修正せずに受け入れる方向だ。また、リスク感応度分析や確定給付制度など、実務上困難とされる開示についても修正せずに受け入れる方向で議論が進められている。

 IAS第34号によると、期中財務報告は(1)要約財政状態計算書、(2)要約純損益及びその他の包括利益計算書、(3)要約持分変動計算書、(4)要約キャッシュ・フロー計算書を含んでいなければならないとされている。一方、四半期報告制度を採用している日本では、期中財務諸表の作成頻度が多く、45日以内の開示が要求されている現状を踏まえると、四半期会計期間の損益計算書(包括利益計算書)並びに第1四半期及び第3四半期におけるキャッシュ・フロー計算書及び要約持分変動計算書の開示は、かなりの実務負担が生じることになる。

 しかし、現行どおり第1四半期及び第3四半期におけるキャッシュ・フロー計算書を省略した場合には、外観上、IAS第34号に基づく四半期報告と大きく異なることになってしまう。このため、日本版IFRSにおいては「削除又は修正」しない方向となっている。また、財務諸表注記についても「削除又は修正」しない方向だ。

 なお、これらのガイダンスや教育文書等の作成も行わないとしている。ガイダンス等を作成しても実務上の困難さが軽減するわけではないからだ。

 また、開示に関して実務上困難とされている(1)リスク感応度分析の開示(IFRS第7号)、(2)確定給付制度に関する開示(IAS第19号)、(3)子会社、関連会社等の要約財務情報の開示(IFRS第12号)についても「削除又は修正」せずに受け入れる方向となっている。

 (3)に関してはIFRSベースの要約財務諸表の作成について、制度上任意適用であることに起因する実務上の困難さが生じる可能性があるものの、広範な企業に関連するとまではいえず影響が限定的であるとしている。



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