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復興特別法人税廃止を反映した実効税率で予算策定
(14/01/23)

 3月決算企業の場合、いよいよ来期の予算策定のシーズン到来といえる。今回は、税効果の計算に用いる実効税率について注意が必要だ。というのも、3月末までに復興特別法人税が廃止されてしまえば、来期に解消される一時差異については復興特別法人税廃止とを前提にした実効税率により計算される必要があるからだ。

 会計のルールでは、税効果会計上の法定実効税率は「決算日現在における税法規定に基づく税率」によることになるが、決算日までに改正税法が“公布”されていれば、「改正後の税率」に基づく法定実効税率を使用することになる。

 この点、民主党政権のときは法案成立が遅れることが常態化していたため、改正法の公布日が事前に読みづらいところではあった。しかし、衆参のねじれが解消し、自民党の安定政権となった現在では、政府が打ち出した復興特別法人税の廃止は、自公両党による与党税制協議会が了承した以上、年度内(すなわち3月31日まで)に公布する公算が大といえる。

 そこで、3月決算企業の来期の予算のうち税効果会計に関連する部分は、復興特別法人税が廃止されたことを前提とした実効税率で計算すべきといえよう。期末資本金が1億円超法人(東京都の場合)は38.01%から35.64%に下がり、繰延税金負債を控除した繰延税金資産の取崩要因(利益の減少要因)になるので、注意が必要だ。

 もっとも、この復興特別法人税は成立当初、平成27年3月期を最後に廃止される予定であった。そのため、平成27年4月以降に解消される一時差異については、もともと上述の例だと35.64%の実効税率を用いて計算していたところである。よって、平成27年3月期に解消される一時差異だけが改正税法の公布の影響を受けるといえよう。

 なお、1月決算・2月決算の場合、決算期末日以降に公布される可能性が高い。そうなると上述の例では38.01%を用いながら、後発事象としての開示を検討することが考えられる。



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