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社外取締役等の要件厳格化は平成28年6月総会で
(13/12/18)

 臨時国会に提出された会社法改正法案では、社外取締役及び社外監査役の要件の厳格化が行われることになる。これまでとは異なり親会社の業務執行者等が社外取締役等に就任できなくなる。ただし、一定の経過措置が設けられており、3月決算会社であれば、平成28年6月総会において要件の厳格化された社外取締役等を選任すればよいことになる。一方、社外取締役を選任していない上場企業等については、事業報告等において「社外取締役を置くことが相当でない理由」を記載することになるが、こちらの適用時期は1年早く平成27年6月総会で適用されることになる。適用時期が異なるので要注意だ。

 会社法改正法案については、社外取締役の義務付けは見送られたものの、社外取締役及び社外監査役の要件の厳格化は行われる。具体的には、社外取締役及び社外監査役ともに、株式会社の(1)親会社の業務執行者等、(2)兄弟会社の業務執行者等、(3)業務執行者等の近親者でないものであることが要件に追加されることになる。例えば、親会社の総務部長などを子会社の社外監査役として兼務させるようなケースもあるが、今後は親会社の人材を子会社の社外取締役や社外監査役とすることができなくなる。

 監査役会設置会社については、監査役3名以上のうち半数以上(2名以上)は社外監査役を選任すOBることが義務付けられているため、社外取締役を選任していなくても直接の影響がある。親会社のを選任することや親会社から籍を抜いて子会社の社外監査役として転籍させることなども考慮する必要がある。

 ただし、会社法改正法案では、一定の経過措置が設けられており、「法律の施行後最初に終了する事業年度に関する定時株主総会の終結の時まで」は従前の例によるものとされている(改正会社法附則4条)。

 会社法改正法案については、臨時国会に提出されたものの、成立は来年の通常国会を目指すことになる。通常国会で成立した場合の施行は平成27年4月1日が見込まれている。このため、3月決算会社の場合であれば、平成28年6月総会で新たな要件を満たす社外取締役及び社外監査役を選任すればよいことになる。とはいっても人材の“争奪戦”はすでに始まっており、残された時間はあまりないといえそうだ。

 一方、社外取締役を選任していない上場企業等については、株主総会で「社外取締役を置くことが相当でない理由」を説明することになるほか、事業報告及び株主総会参考書類においてその理由を記載することになるが、こちらは1年早く平成27年6月総会で適用されることになる。



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