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IFRSの任意適用会社拡大へ向け連結財規等が改正
(13/11/18)

 金融庁は10月28日、連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令等を公布し、同日付で施行したことを公表した。今回の改正は、IFRSの任意適用が可能な会社の要件を緩和するための改正で、平成25年8月26日から一ヶ月間のパブコメに付していたもの。パブコメに付された改正案から大きな修正点はない。

 なお、パブコメの概要及びそれに対する金融庁の考え方もあわせて、公表されている。パブコメではIPOとIFRSの関係についての問い合わせが多く寄せられている。

 まず、「新規上場会社が有価証券届出書等に組み込む連結財務諸表を作成する場合、当該連結財務諸表には比較情報(連結財務諸表規則第8条の3)を含めず、前連結財務諸表及び当連結財務諸表を作成するものとされている(連結財務諸表規則附則第2項及び第3項)」のに対して、「IFRSでは連結財務諸表に一定の比較情報が必須とされ(IFRS第1号21項又はIAS第1号38A項)、比較情報を含まない連結財務諸表はIFRSに準拠したものとは認められない」として、両者の関係を問いただす質問が相次いだ。これについて、金融庁では「特定会社に該当する新規上場会社については、指定国際会計基準に基づいて連結財務諸表を作成することになりますので、ご指摘の連結財務諸表規則附則第2項及び第3項は適用されません」といった回答を行っている。

 また、「有価証券届出書等における主要な経営指標等の推移を、IFRSプロフォーマ数値により記載することが可能であるかどうかを明確にしていだきたい」といった問い合わせに対しては、「「主要な経営指標等の推移」は、最近5連結会計年度において、(1)日本基準で作成した連結財務諸表に係る連結会計年度については、「連結財務諸表規則による指標等」を記載し、(2)指定国際会計基準で作成した連結財務諸表に係る連結会計年度については、「連結財務諸表規則による指標等に相当する指標等」を記載することとされています。このため、過去、日本基準で作成した連結財務諸表に係る連結会計年度について、IFRSプロフォーマ数値により「主要な経営指標等の推移」を記載することはできません」といった回答を行っている。もっとも「投資者の投資判断に誤解を生じさせない範囲において、IFRSプロフォーマ数値を、別途、参考情報として記載することは、差し支えありません」としており、実務動向が注目されるところだ。

 なお、「IFRSの任意適用が可能な会社(特定会社)の要件として、IFRSに基づいて作成する連結財務諸表の適正性を確保する取組・体制整備が残されているが、当該「取組・体制」は日本基準の財務諸表を作成する場合でも当然にして必要なものであり、IFRSに限定されるものではないため、実効性がなく不要ではないか」といった苦言も寄せられているが、「投資家保護の観点から、記載は必要」というスタンスは変更されてない。



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