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インサイダー、純粋持株会社に該当するかは
売上高で判断
(13/09/19)

 金融商品取引法施行令等が9月4日に公布された。平成24年9月12日に公布されたインサイダー取引規制の見直しなどを盛り込んだ金融商品取引法等の一部を改正する法律によるもの。9月6日から施行されている。インサイダー取引規制の見直しでは、他社株TOBに関し、インサイダー取引規制が解除される公表措置の追加や特定上場会社等(純粋持株会社等)に係る重要事実の軽微基準の見直しでは、連結ベースの計数を用いることとされている。また、特定上場会社等に該当するか否かは有価証券報告書の損益計算書における売上高を基に判断されることになる。

 今回の金融商品取引法施行令等の一部改正では、発行者以外の者が行う公開買付け(他社株TOB)等に関し、インサイダー取引規制が解除される公表措置として、(1)公開買付者等である「上場会社」が、取引所に通知することによる公表、(2)公開買付者等である「上場会社以外の者」が、被買付企業又は上場親会社に対し、取引所への通知を要請し、当該被買付企業又は当該親会社が、当該要請に基づき取引所に通知することによる公表を追加している。また、金融商品取引法改正により、合併又は会社分割による株券等の承継がインサイダー取引規制の対象とされたことに伴い、株券等の合併又は分割による承継を公開買付者等関係者によるインサイダー取引の規制対象となる行為に追加した。

 上場会社が「特定上場会社等」、いわゆる純粋持株会社等(有価証券報告書において関係会社に対する売上高(製品・商品売上高を除く)が売上高の80%以上の会社)の場合には、インサイダー取引規制の対象とならない重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準について、連結ベースの計数を用いる。また、上場会社が「特定上場会社等」に該当する場合には、その旨及びその内容を有価証券報告書等に記載することになる。例えば、「特定上場会社等に該当することにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなる」旨の記載をすることになる。

 なお、「特定上場会社等」に該当するか否かは有価証券報告書の損益計算書における売上高を基に判断されることになる。有価証券報告書に「特定上場会社等」に該当する旨の注記がされているかどうかは関係ないとされている。ただし、「特定上場会社等」に該当するにもかかわらず、有価証券報告書にその旨の注記しなかった場合には金融商品取引法上の開示規制に違反することになる。

 その他、改正金商法では、合併等により上場株券等を承継する場合には、インサイダー取引規制の対象としているが、承継資産に占める割合が低い場合にはインサイダー取引規制の対象外とされている。この割合は「20%未満」と定められている。



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