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日本版IFRSは来年秋を目途に策定へ
(13/08/21)

 企業会計基準委員会(ASBJ)は企業会計審議会が取りまとめた「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」を受け、エンドースメント手続の検討を開始した。作業部会を設置し、2012年中に公表されたIFRSについては、今後、1年を程度でエンドースメント手続を完了させる方針だ。2014年秋頃が予定されている。

 企業会計審議会(会長:安藤英義専修大学教授)はこのほど、「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」をとりまとめた。この中で注目される項目の1つが日本版IFRS、いわゆるエンドースメント手続(自国基準へのIFRSの取込み手続)を導入することが明記されたことである。

 当面の方針では、企業会計基準委員会が検討を行うこととされており、7月10日開催の同委員会でIFRSのエンドースメント手続について検討を開始している。

 「エンドースメントされたIFRS」は、日本基準と同様、企業会計基準委員会の議決により定められることになる。詳細な検討を行うため、IFRS及び日本基準に精通した財務諸表作成者、監査人、学識経験者をメンバーとした「IFRSのエンドースメントに関する作業部会(仮称)」を立ち上げる方針だ。

 「エンドースメントされたIFRS」を開発する際には、IASBが設定した個々の会計基準等に対して修正せずに採択できるかどうかを検討し、必要に応じて削除又は修正することになる。対象となるのは、国際財務報告基準(IFRS)、国際会計基準(IAS)、解釈指針(IFRIC,SIC)となる。「財務報告に関する概念フレームワーク」を含めるか否かは今後の検討課題とされている。なお、「エンドースメントされたIFRS」は日本基準となるため、日本語で作成されることになる。

 今後のスケジュールとしてはIASBが2012年12月31日までに公表した会計基準等については、エンドースメント手続の完了目標を約1年としている。来年秋頃までには完了させたい意向だ。また、2013年以降に公表される会計基準等は、IASBが会計基準等を公表した後、原則として1年を目途にエンドースメント手続を行う方針を示している。

 なお、日本版IFRSが出来たとしてもIFRSとして認められるかどうかは未知数。IFRS自体を見直すことになれば、諸外国が行っているエンドースメントとは異なるとの指摘がある。あくまでも日本基準との位置付けだ。



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