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企業結合、資本剰余金がマイナスの場合の
取扱いを明確化
(13/07/17)

 企業会計基準委員会(ASBJ)は企業結合会計において、資本剰余金がマイナスとなった場合の取扱いを明確化する方針だ。現在、同委員会では、3月15日まで意見募集を行っていた「企業結合に関する会計基準(案)」及び関連する他の会計基準等の改正案について検討を行っているが、最終基準に盛り込む考えだ。具体的には、非支配株主(少数株主)との取引によって、連結貸借対照表上、資本剰余金が負の値となった場合には、自己株式の処分や消却に準じた処理を行うこととしている。

 企業会計基準委員会は、昨年12月に公表した企業結合会計基準案について、コメントを踏まえた見直し作業を行っている。公開草案に対してはおおむね賛成する意見が寄せられているが、基準の明確化を求める意見や適用時期や遡及適用をめぐっての意見があり、対応を行っていくとしている。

 明確化を求める意見の1つが、非支配株主との取引により、連結貸借対照表上において資本剰余金がマイナスとなった場合の取扱いだ。公開草案では、これまで損益取引としていた非支配株主との取引を資本取引に見直すことが提案されている。たとえば、子会社株式を一部売却した場合、その子会社が株式売却後も連結子会社である場合には、その売却益は資本剰余金とされる。

 企業会計基準委員会では、親会社の持分変動による差額を「資本剰余金」として処理した結果、資本剰余金残高が負の値となるような場合の取扱いについて、明確化する方向で検討が進められている。この点、企業会計基準第1号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準」第12項では、自己株式の処分や消却により、その他資本剰余金の残高が負の値となった場合には、その他資本剰余金を「零」とし、当該負の値をその他資本剰余金(繰越利益剰余金)から減額することとされている。

 これを踏まえ、連結上は資本取引として取り扱うこととされた非支配株主との取引によって、連結貸借対照表上において資本剰余金が負の値となった場合には、自己株式の処分や消却の会計処理に準じた会計処理を行うこととしている。

 この場合の連結貸借対照表の表示科目は、それぞれ「資本剰余金」及び「利益剰余金」であるため、仮に個別財務諸表上の「資本準備金」に対応する金額があった場合でも、親会社の持分変動による差額を「資本剰余金」として処理した結果、連結会計年度末において資本剰余金残高が負の値となるような場合には、資本剰余金を零とし、当該負の値を利益剰余金から減額することになるとしている。



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