財務報告関連実務ニュース


共通支配下取引と連結納税の税効果の差異を解消へ
(13/06/17)

 企業会計基準委員会は連結納税と企業結合に関する税効果会計について見直すことを決定した。共通支配下の取引と子会社株式の追加取得による連結納税への新規加入に関して、取引後は納税主体が同一になるにもかかわらず、税効果への影響については実務上異なることによるもの。今後、実務対応専門委員会において、会計処理や表示に関する検討を行い、実務対応報告等の原案を作成する予定だ。

 親子会社間の合併など、共通支配下の取引と子会社株式の追加取得による連結納税への新規加入についてはいずれも従来は異なる納税主体であるが、取引後は納税主体が同一となる。しかし、税効果への影響については、実務上異なっているのが現状だ。

 共通支配下の取引の場合は、明文規定はないが、例えば、親子会社の合併の場合、取得企業の税効果会計に関する企業結合会計上の取扱いと同様に、繰延税金資産の回収可能性の判断では合併の影響を合併後から考慮するという実務運用が見受けられる。

 一方、子会社株式の追加取得による連結納税への新規加入については、対象子会社の株式の追加取得の意思決定がなされ、それが実行される可能性が高いと認められる時点で繰延税金資産の回収可能性の判断上考慮することが明文化されている。

 経済的な事象は似通っているにもかかわらず、異なる会計処理となっているため、今回、企業会計基準委員会では基準諮問会議の提言を踏まえ、実務対応報告を作成することとしたものである。

 現段階では、(1)実務対応報告第5号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)」における既存子会社の加入・離脱の際の繰延税金資産の回収可能性の判断の関する定めを削除し、企業結合会計における取扱いに合わせる、(2)共通支配下の取引に関する繰延税金資産の回収可能性の判断を連結納税の当面の取扱いにおける加入・離脱の際の取扱いに合わせる、(3)現行の両基準の取扱いをそのまま残し、企業結合における共通支配下の取引について、取得と同様の取扱いを行うことを明示するという3つの案が示されている。今後、この3案を軸に検討が行われる予定だ。



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