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IFRSの任意適用、緩和の方向で検討スタート
(13/05/20)

 IFRSの任意適用要件が緩和される。上場準備会社や海外に子会社がない企業でも任意適用を容認する。企業会計審議会では、夏頃にも報告書を取りまとめる予定。その後、財務諸表等規則等を改正する。

 現在、IFRS(国際会計基準)を任意適用している企業は9社にすぎない。IFRSの適用を表明している企業を合わせても17社だ。今回、日本としては、IFRSを強制適用するかどうかの決断の前に、まずは任意適用を行う企業の積上げが必要と判断。そのために任意適用要件の緩和を行うことにしたものだ。

 具体的には、現行、上場企業であることが任意適用の1つの要件となっているが、これを撤廃。上場準備企業についても任意適用を認める方向。株式公開の際に必要となる財務諸表をIFRSで作成することが可能になる。

 また、任意適用する上で一番のネックとされている海外に資本金の額が20億円以上の連結子会社を保有しているという要件も撤廃する。要件の緩和が行われることになれば、IFRSの任意適用に向けて準備している企業のすべてが適用可能になる。

 そのほか、ピュアIFRS(すべての国際会計基準をそのまま適用すること)のほかに、日本でもエンドースメント(個々の国際会計基準の妥当性などを検討した上で採用する方法)プロセスを採用する方向性が打ち出された。その一方でエンドースメントできなかった基準についてはカーブアウトすることも容認する方向で検討が進められている。

 なお、単体開示のあり方に関しては、証券アナリストから比較可能性などの観点から慎重な対応が必要との意見があったものの、廃止あるいは簡素化すべきとの意見が多数を占めている。今後、単体の開示負担を軽減する見直しが行われる方向だ。



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