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新連結会計基準が子会社上場の見直しに
(13/03/18)

 企業会計基準委員会(ASBJ)が3月15日まで意見募集を行っている企業結合会計基準及び連結財務諸表会計基準等の公開草案では、これまで損益取引としていた非支配株主(少数株主)との取引を資本取引に見直す方向だ。

 例えば、子会社株式を一部売却した場合、その子会社が株式売却後も連結子会社である場合には、その売却益は資本剰余金とされることになる。新会計基準が導入されることになれば、親会社が含み益のある上場子会社株式を売却することにより、損失の穴埋めや利益のかさ上げを行うといった手法は不可能となる。

 企業会計基準委員会は1月11日、企業会計基準公開草案「企業結合に関する会計基準(案)」及び関連する他の会計基準等の改正案を公表した。改正点のうち、非支配株主持分(少数株主持分)の取扱いの変更については実務上、多くの企業に影響を与えそうだ。

 現行の会計基準では、1)子会社株式を追加した場合、2)子会社株式を一部売却した場合(親子会社の支配関係が継続している場合)、3)子会社の時価発行増資など、支配が継続している場合の子会社に対する親会社の持分変動については、損益取引とされている。

 例えば、親会社が含み益のある上場子会社株式を売却することにより、実務上、損失の穴埋めや利益をかさ上げするといったことが行われている。子会社上場のメリットの1つといえるものである。

 今回の公開草案では、これらの子会社株式の一部売却等は損益取引とはせず、資本取引とする方向で見直しが行われる。例えば、子会社株式を一部売却した場合、売却による親会社の持分の減少額と売却価額との間に生じた差額は資本剰余金に計上されることになる。

 この取扱いは、国際的な会計基準とのコンバージェンスを図るものだが、仮に新会計基準が公開草案どおりに決定された場合には、前述の手法による損失穴埋めなどはできなくなる。子会社上場の大きなメリットが喪失することになる。

 新会計基準は平成27年4月1日以後開始する事業年度の期首からの適用される予定。新会計基準適用までの期間は、子会社上場など、企業グループの資本政策を見直すきっかけにもなりそうだ。



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