財務報告関連実務ニュース


特別目的会社の推定規定、当面の間は改正しない方針
(13/02/19)

 日本独自の会計基準である特別目的会社の推定規定だが、廃止までには時間がかかりそうだ。企業会計基準委員会(ASBJ)は、推定規定に関して問題意識は持っているものの、当面は改正を行わない方針であることを明らかにした。ただし、将来的には改正を行う意向があり、同委員会では、これまでの意見や考え方を取りまとめた「特別目的会社に関連する会計基準の検討状況」と題する報告書を春頃にも公表する予定だ。

 現在、一定の要件を満たす特別目的会社については、子会社に該当しないものと推定するという取扱いが行われている。具体的には、特別目的会社が、資産流動化法上の特定目的会社及び事業内容の変更が制限されているこれと同様の事業を営む事業体であることなどの一定の要件を満たした場合には、子会社に該当しないものと推定するとしている。多くの特別目的会社がこの推定規定を適用し、連結子会社から除外している実務が行われている。

 この推定規定については、わが国独自のものであり、国際的な会計基準では認められていない。このため、企業会計基準委員会では、平成19年3月に企業会計基準適用指針第15号「一定の特別目的会社に係る開示に関する適用指針」を公表。子会社に該当しないものと推定した特別目的会社についても開示対象とする措置を行っている。

 その後、平成23年3月には、連結会計基準を改正。同改正では、資産の譲渡者のみに適用(出資者には認めず)することを明確化。これにより、従来から幅のある解釈が行われていた開発型のSPE(当初から特別目的会社がマンションや商業施設などの物件の開発行為を行うタイプ)については連結対象となる旨を明らかにすることで、一定の財務報告の透明性を図っている。

 当然のことながら推定規定の問題がすべて解決されたわけではない。ただ、改正連結会計基準の適用が平成25年4月1日以後開始事業年度からとされているため、現時点では公開草案等の公表に向けた検討を行うことは時期尚早であるとの意見が強い。

 このため、企業会計基準委員会では、当面の間は推定規定に関する見直しは行わない方針だ。ただし、推定規定の問題を風化させないため、これまでの議論の検討状況をまとめた報告書を作成する予定。平成25年春頃には公表するとしている。



財務報告関連実務ニュース一覧へ