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比較情報の開示の要否が会計基準に!?
(12/12/17)

 今後、企業会計基準委員会(ASBJ)が検討する実務的なテーマが増えそうだ。例えば、比較情報の取扱いや繰延税金資産の回収可能性の判断などについては、会計基準や実務対応報告として策定すべきとの意見が企業会計基準委員会等に寄せられており、会計基準等として策定するか検討される方向だ。

 比較情報の開示の要否については、決算期において企業からの疑問が多い項目の1つだ。比較情報の開示に関しては、日本公認会計士協会が平成24年5月16日に会計制度委員会研究報告第14号「比較情報の取扱いに関する研究報告(中間報告)」を公表しているのみで、特に会計基準等は定められていない。

 中間報告に関しては、新たな実務上の論点が生じた場合にはQ&Aが追加されることになっているが、比較情報の開示は、すべての上場企業に関連する項目であり、特に監査人側からは会計基準として整理すべきとの意見が強い。

 このため、財務会計基準機構の基準諮問会議では、会計基準として整理すべきかどうかの検討を行うこととしている。

 また、日本公認会計士協会が公表している監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」については、実務対応報告として、企業会計基準委員会が取りまとめるべきとの声がある。

 税制改正により、繰越欠損金の繰越期間が9年に延長されているが、これに対応した見直しはされていないのが現状。また、繰延税金資産の回収可能性の判断に関しては、財務数値に重要な影響を与えるものであり、実質的には会計基準と同等のものであるとの指摘がある。

 このため、監査委員会報告第66号を日本公認会計士協会から企業会計基準委員会に移管し、最近の繰越期間を前提とした内容にすべく、論点を整理した上で実務対応報告等を策定すべきかどうかを検討が行われる方向だ。



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