財務報告関連実務ニュース


3月決算会社、株主総会開催日が集中するのはなぜ?
(12/06/14)

 定時株主総会の開催日は、決算日から3ヶ月以内であれば、各社が自由に決定できる。上場準備会社の場合、監査対応を考えると通常は6月に開催するケースが多い。それに備えて、法人税の申告期限の延長の特例を申請している会社も多いであろう。

 ただし、実際のところ、上場会社の定時株主総会開催日は特定の日(3月決算会社の場合、例年「6月最終営業日の前営業日」(当該日が月曜日である場合には、その前週の金曜日)となっている)に集中する傾向にある。これは、特定の日に集中することで総会屋のターゲットにされにくくなるというメリットがあるのが一因。

 そのため、平成7年3月には東証上場会社(3月決算)の96.2%が同じ日に株主総会を開催するという事態になった。しかし、特定日に集中することで株主の出席機会を奪ってしまうというデメリットもある。そこで、総会屋の活動への取締・罰則強化と株主総会のオープン化の動きにより、定時株主総会開催日は次第に分散化されることとなった。

 東京証券取引所が6月11日に公表した「平成24年3月期決算会社の定時株主総会の開催日集計結果について」によると、今年もっとも集中した日は6月28日(木)で、集計対象会社1,705社中、709社(全体の41.6%)が同日に定時株主総会の開催を予定していることがわかった。平成7年3月から14年かけて、かなり分散化が進んだといえる。

 もっとも、6月27日(水)は264社(全体の15.5%)、6月26日(火)が250社(全体の14.7%)となっており、週単位でみてみると最終週に7割超の会社が集中していることになる。開示実務の複雑・高度化が定時株主総会の開催早期化を拒んでいる面もあり、今後の課題といえよう。

 なお、3月31日決算会社のうち、もっとも早く定時株主総会を開催したのは、(株)スクロール(一部)の5月29日。2位のトラスコ中山(株)(一部)の6月8日を10日以上引き離して、ダントツとなっている。

 東証では、株主総会における議決権行使を容易にするために、定時株主総会開催日の分散化をはじめとする議決権行使環境の改善を呼びかけている。



財務報告関連実務ニュース一覧へ