財務報告関連実務ニュース


社外取締役の開示、基本は連結ベースでの判断を行わず
(12/05/15)

 3月決算法人から社外取締役等の開示を求める「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成24年内閣府令第20号)が3月30日に公布されたが、同時に企業内容等開示ガイドラインも改正されている。ガイドラインでは、社外取締役等について、「提出会社との人的関係、資本的関係又は取引関係その他の利害関係」の留意点が示されているが、金融庁が3月30日付で公表したパブリックコメントに対する回答では、子会社等を通じての取引も考慮するといった文言があり、企業側から連結ベースで判断するのかといった疑問の声が上がっていた。この点、金融庁では、利害関係について、あくまでも提出会社との関係が対象となり、基本的に連結ベースでの判断は求めていないとしている。

 内閣府令に伴い、企業内容等の開示に関する留意事項について(企業内容等開示ガイドライン)も一部改正されている。企業内容等開示ガイドラインでは、従来、「コーポレート・ガバナンスの状況」において、「社外取締役及び社外監査役と提出会社との人的関係、資本的関係又は取引関係その他の利害関係」について記載されているが、この点について、(1)社外取締役又は社外監査役が他の会社等の役員若しくは使用人である、又はあった場合における当該他の会社等と提出会社との利害関係が含まれることなどの旨が明記されることになった。

 この「社外取締役及び社外監査役と提出会社との人的関係、資本的関係又は取引関係その他の利害関係」について、内閣府令案に寄せられたパブリックコメントでは、金融庁からの回答において、「利害関係が提出会社の子会社等を通じて存在する場合」も含まれるといった記載が行われている(「コメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方」の5を参照)。

 このため、企業の中には、社外取締役の出身母体と提出会社との利害関係について、連結ベースで判断するのではないかとの疑問の声が上がっていたようだ。この点、金融庁では、この利害関係については、必ずしも連結ベースでの利害関係等を確認することが求められているわけではなく、あくまでも提出会社とその他の会社等との間の利害関係等が対象となるとしている。

 ただし、提出会社とその他の会社等との間に直接的に利害関係がない場合であっても、(1)提出会社は直接その他の会社等と取引を行わず、提出会社の子会社にその他の会社等との取引を指示した場合、(2)提出会社の子会社の取引先や条件を提出会社が決定した場合など、実質的に提出会社と子会社が一体となって、その他の会社等との利害関係が存在する場合もあると指摘している。留意したい点である。



財務報告関連実務ニュース一覧へ