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親引けルールが緩和へ
(12/02/14)

 日本証券業協会はこのほど、「募集株券等の配分に係る規制のあり方に関する検討分科会」の報告書「配分ルールのあり方について」を公表し、親引けをはじめとする配分に関する規制を緩和する方向性を打ち出した。

 親引けとは証券会社が株券を発行者の指定する販売先へ売付け(販売先を示唆する等実質的に類似する行為を含む)することをいう。個人投資家へ公平かつ公正な配分を行うという観点から、原則として親引けは禁止されている(日本証券業協会の引受規則31条3項・4項)。例外的に、連結関係又は持分法適用関係、企業グループ全体での持株比率を維持するために必要な場合や持株会等を対象とする場合(募集及び売出しに係る株式数の10%が限度)等の限定されたケースにおいてのみ許容されているに過ぎない。新規公開銘柄を中心に、公開価格から初値にかけての値上がりの蓋然性が高かったという点が規制の背景にある。

 しかし、株価の低迷が続き、新規公開銘柄の公開価格から初値にかけての株価の値上がりの蓋然性が低下する一方で、海外における「コーナーストーン投資家プロセス」(比較的長期の保有が期待できる安定的な投資家に募集・売出しに係る株券等の一定数量を優先的に配分する)といった配分方法をわが国でも可能とすることでより円滑で安定的な消化を実現できるようにすべきではないか、といった問題意識が持たれることとなった。

 そこで、「親引けの原則禁止は維持しつつも、親引けが例外的に許容される要件を個別具体的に列挙するのではなく、引受証券会社が適正と判断する場合については親引けを例外的に許容するという、より柔軟な規制に改めてはどうか」といった意見が示されている。あわせて、「親引けについて何らかの方法で情報開示を求めるとともに、親引けにより配分された株券等に一定期間内の売却を禁じるロックアップの要請等を制度化することが適当ではないか」との意見も示されている。

 その他、配分に関する規制やIPOの際の一部抽選のあり方等についても見直しを検討することが適当とされている。



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