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大半の企業がIFRS強制適用に対応可能!?
(11/09/12)

 8割近くの企業がIFRSの強制適用に対応可能と回答する驚きのアンケート結果がこのほど公表された。これは、東京商工リサーチが、有価証券報告書提出企業及び外資系企業に対して行ったIFRS適用についてのアンケート調査。有価証券報告書提出企業4,144社(うち上場企業3,701社)及びそれ以外の462社(外国法人からの出資があり、売上高20億円以上で東京都に本社を置く外資系非上場企業を抽出)の合計4,606社に対しIFRS適用についてのアンケートを実施したもので、回答数は407社(回答率8.8%)。

 これによると、回答数407社のうち、IFRS適用の検討を始めている企業は347社(構成比85.3%)であることがわかった。もっとも、進捗状況は芳しくなく、「事前調査・勉強段階」とした企業は203社(構成比58.5%)に過ぎない。「設計段階」「IFRSベースの財務諸表を暫定的に作成」に入ったとする企業となると21社(同6.1%)に激減することがわかる。自見金融大臣の発言もあり、IFRSへの態度を様子見とする企業が大半を占めているといえよう。

 驚くのは、2015年に強制適用された場合の対応の可否である。対応可能と回答した企業は320社に及んでいる。回答数を母数とすると78.6%となる。「IFRSベースの財務諸表を暫定的に作成」している企業が少ないにもかかわらず、対応可能と判断した企業が大半を占めており、過度に楽観的な判断を有する企業が多すぎるとの見方もできる。備えあれば憂いなしとしたいところだ。

 なお、「IFRS導入に関して最も懸念されること」について、205社の企業が「システムやプロセスの変更」をあげている。システム変更には長期間かかるだけに、自見金融担当大臣がかけたブレーキによる現場の遅れが気になるところだ。



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