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東証、震災対応で有価証券上場規程改正案を公表
(11/05/09)

 東京証券取引所はこのほど、「東日本大震災による被災企業及び被災地域の復興支援等に向けた有価証券上場規程等の一部改正について」を公表した。これは、被災企業・被災地域の復興支援を目的として、震災の影響に配慮した特例を新設するなど所要の上場制度上の対応を図るもの。その趣旨から、パブコメ期間は通常より短縮され、5月12日までとなっている。東証では、今回の改正に伴い、上場管理や新規上場の実務においても、震災の影響に配慮した運用を行うとしている。

 まず、上場審査関連として、下記の内容の改正を予定している。

・純資産の額の例外
 直前事業年度末における純資産の額が東日本大震災による特別損失に起因して10億円未満となっている場合は、新規上場による資金調達額を加算した額が10億円以上となる見込みがあれば足りるものとする。

・利益の額の例外
 東日本大震災による特別損失を除外して判断する。

・監査意見の例外
 東日本大震災により直前事業年度における監査報告書に「限定付適正意見」が記載された場合も基準を充足するものとする。

・再度の上場審査時の審査料免除
 東日本大震災により上場承認に至らなかった場合であって、3年以内に再び新規上場申請を行うときは、上場審査料を無料とする。

 その他、上場廃止基準関連として、下記の内容の改正を予定している。

・債務超過時の猶予期間の延長
 上場会社が、東日本大震災による特別損失の発生に起因して債務超過の状態となった場合について、上場廃止までの猶予期間を1年間から2年間に延長する。

・事業活動の停止判断からの除外
 上場会社が東日本大震災により一時的に事業活動を停止していると認められる場合について、事業活動の停止に係る上場廃止基準に該当しないことを明確化する。

 施行日は、平成23年6月1日からを予定している(「債務超過時の猶予期間の延長」については、平成23年3月11日以後に終了する事業年度からの適用)。



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