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内部統制、「良好」と「有効」は使い分け
(11/04/11)

 金融庁はこのほど、企業会計審議会内部統制部会議事録(平成23年2月14日開催)を公表した。議事録は、内部統制の基準・実施基準に加えられた改訂内容の微妙なニュアンスがわかるものとなっている。

 議事録によると、内部統制の状況に関して「有効」の上位概念が「良好」であるとして、「良好」と「有効」を使い分ける考え方が示されている。具体的には、前年も「有効」で、当年も引き続き「有効」であれば、「良好」という位置づけになる。これを受け、昨年12月に公表された実施基準改訂案の中で、「良好」としていたところを「有効」に修正する案が検討中だ。

 実施基準IIIにおいて、現行の「経営者の行った重要な事業拠点の選定の過程や結果が適切でないと判断した場合には、経営者に対し重要な事業拠点の選定の見直しなどの追加的な作業を求める。」について、「経営者の行った重要な事業拠点の選定の過程や結果が適切でないと判断した場合には、経営者に対し、その旨を指摘するとともに、財務報告に対する影響の程度等に応じ、重要な事業拠点の選定の見直しなどの追加的な対応を求める場合がある。」に変更される案が示されていた。これについて、監査人が、経営者の評価範囲が適切でないと判断した場合であっても経営者に追加的な対応を求めないという誤解を招くのではないかということで、「追加的な対応を求める」というふうにすべきであるという指摘が寄せられていた。現行の「求める」がトーンダウンして「求める場合がある」となった点に対しては、「構文上不適切ではないか」「かえってあやふやなゾーンが増える」といった異論が相次いだ。3月末に予定されている企業会計審議会で承認される予定の改訂実施基準での言い回しが気になるところだ。

 なお、改訂基準及び改訂実施基準は、平成23年4月1日以後開始する事業年度における財務報告に係る内部統制の評価及び監査からの適用を予定している。



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