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人数通算からストック・オプションを除外
(11/02/14)

 ストック・オプションの発行者である会社が、その会社及びその完全子会社の役員・使用人を相手方として、ストック・オプションの取得勧誘又は売付け勧誘等を行い、これが有価証券の募集又は売出しに該当する場合であっても、開示義務は免除されている。これは、当該役員・使用人は当該ストック・オプションに関する情報及びその発行会社に関する情報を既に取得し、又は容易に取得することができるものと考えられるからだ。

 しかし、一方で、有価証券の募集又は売出しに該当するか否かを判定するための人数通算規定においては、届出義務が免除されたストック・オプションの募集又は売出しであっても通算の対象となってしまう。そこで、新株予約権証券の取得勧誘又は売付け勧誘等の相手方が少人数の場合であっても、過去6月(売付け勧誘等の場合は1月)以内に発行され、又は売付け勧誘等が行われた当該新株予約権証券と同種の有価証券に該当するストック・オプションの取得勧誘又は売付け勧誘等の相手方の人数との合計が50名以上となる場合は、有価証券の募集又は売出しに該当することとなり、開示義務が生じることとなっていた。この点、過度の実務負担が生じていた。

 こういった問題点を解消するために、金融庁では1月28日に、ストック・オプションに関する実務負担を緩和する旨の改正案を公表している。これは、新株予約権証券の取得勧誘・売付け勧誘等が募集・売出しに該当するか否かを判定するための人数通算について、過去(取得勧誘の場合は6月以内・売付け勧誘等の場合は1月以内)に行われた当該新株予約権証券と同種の有価証券に該当する新株予約権証券(ストック・オプション)の取得勧誘・売付け勧誘等の相手方(発行会社の役員・使用人)の人数を通算しない旨、金融商品取引法施行令を改正するというもの。

 あわせて、募集・売出しの相手方が、当該新株予約権証券の発行会社の「完全孫会社」(完全子会社が他の会社の発行済株式の総数を所有する場合における当該他の会社)の役員・使用人である場合には、開示義務を免除する旨の企業内容等の開示に関する内閣府令の改正案も公表されている。以上について、公布の日からの適用を予定している。

 また、内部統制報告制度に関して、「重要な欠陥」という用語を「開示すべき重要な不備」にあらためる旨の用語内部統制府令及び内部統制府令ガイドラインの改正案も公表されている。



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