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運用機関はどのような株主総会議案に反対なのか
(10/12/13)

 公的年金の積立金を管理・運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)はこのほど、今年4月〜6月の株主議決権行使の状況を公表した。

 GPIFは、約120兆円の運用資金のうち、パッシブ運用を中心に国内株式には約11%(金額では約12〜13兆円)を投資し、市場での存在感も大きい。

 今回の報告対象となった国内株式を運用する15社28ファンドの状況は、次のとおりであった。件数ベースで最も反対の多い議案は、12065件にのぼった取締役の選任である。その中で社外取締役の選任は、反対割合も22.0%と高く、反対理由として、社外取締役等の数や独立性に問題があると判断したことを挙げている。

 割合ベースで反対の多い議案を上位3つ紹介すると、1位が買収防衛策の新規導入や更新49.3%、2位が退任役員の退職慰労金の贈呈の42.8%、3位がストックオプションの付与の26.0%となっている。このうち、買収防衛策については、発動・解除を検討する独立委員会の独立性に疑義がある、企業価値や株主価値の確保に疑義がある場合等に反対が多い。

 GPIFそのものは株主名簿に登場することはないが、運用機関の眼がとくに厳しい議案、たとえば取締役の選任、買収防衛策については、今後、会社側も意識しながら対応していきたい。

 なお、厚生労働省で昨年末から開催されているGPIFの在り方検討会では、一部の委員からGPIF自ら株主議決権行使のガイドラインを作るべきとの強硬な意見も出されており、来年以降の動向も注目される。



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