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IFRS適用に向け準備が進む
(10/12/13)

 IFRSの足音がせまりつつある。金融庁では、2012年を目途に連結財務諸表への強制適用の是非を判断し、少なくとも3年の準備期間を確保するとしていることから、2015年から2016年あたりに強制適用がスタートする可能性がある。それでは、現時点で上場会社はどの程度の準備を行っているのであろうか。

 この点、東京証券取引所がこのほど公表した「IFRS準備状況に関する調査結果」によると、IFRS強制適用に向け準備を進めている企業は全体の7割近くの1,059社(67.4%)であることがわかった。

 もっとも、「IFRSの知識を得るため、経理・財務部門を中心として、知識収集を行っている。」という企業が730社(60.0%)で、「IFRS導入の影響を把握するために、簡易な影響度分析を行っている」企業は306社(25.2%)、「個々のIFRS基準書毎の具体的対応の検討を開始している」企業は169社(13.9%)に過ぎない。まして、「IFRSへの移行日の貸借対照表(財政状態計算書)を暫定的に作成している」企業は6社、「前期のIFRSベースの財務諸表を暫定的に作成している」企業に至っては5社に過ぎない。

 IFRSは十分な準備なしには適用が到底無理といえる。上場会社の多くが4年後の強制適用に備えて今から「IFRSの知識を得るため、経理・財務部門を中心として、知識収集を行っている」のであれば、同時期に上場予定の上場準備企業(連結財務諸表作成会社)もその程度の準備は進めておくべきといえよう。とりわけ、会計システムの更新を予定しているのであれば、更新前に「IFRS導入の影響を把握するための簡易な影響度分析」程度は済ませておくことで、システム投資の総コストをおさえることもできる。早めの着手が望まれるところだ。



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