日本経済団体連合会はこのほど、「財務報告に関わるわが国開示制度の見直しについて」を公表した。これは、わが国上場企業の財務報告に係るコストは上昇の一途を辿っており、かつ、各国の制度と比較しても開示制度が過剰であるとして、開示制度全般に対する抜本的見直しを提案するもの。提案は、大きく、取引所における適時開示制度、金融商品取引法上の法定開示、内部統制報告制度の3つにわかれている。詳細は次の通り。経済界の意見が集約されており、今後の制度設計に関する議論に大きな影響を与えそうだ。 ■取引所における適時開示制度 金融商品取引法上の法定開示と取引所における決算短信(通期/四半期)については、その役割分担に関する整理が必要。 また、業績予想開示については、わが国では既に四半期決算短信や四半期報告に基づくタイムリーな実績情報の開示がなされていることから、従来のような有用性はなくなっているとして、実務負荷を総合的に勘案し、廃止あるいは完全な自主開示化および決算短信の様式の見直しを検討すべき。 ■金融商品取引法上の法定開示 <個別財務諸表> 連結財務諸表にIFRSを強制適用する際の個別財務諸表の開示は、廃止も含め抜本的に簡素化することが必要 <四半期報告制度> 四半期報告については、決算短信との整合性を踏まえ、累計期間のみによる開示を認めるとともに、内訳表示や注記項目、非財務情報について簡素化 <臨時報告> 取引所における適時開示との役割分担を含め、臨時報告書の提出要件の整理や数値基準の見直しを行うべき ■内部統制報告制度 そもそも内部統制監査を不要とするような制度設計も考えられるが、まずは、内部統制監査をレビュー方式とする可能性も含め、コスト削減の程度も検討しつつ、今一度の整理が必要。また、次に掲げる項目についても、簡素化等が必要。 ・内部統制の評価対象範囲の更なる絞り込み ・持分法適用会社の評価のあり方の見直し ・「重要な欠陥」の用語の見直し ・ITに係る内部統制監査の簡素化 |
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