目次 III-1


III.所得税制はここが変わる!

1 医療費控除の特例創設

 現行の医療費控除とは選択制で、年間12,000円を超える一定の医薬品を購入した場合の医療費控除(所得控除)の特例が新設されます。
 この制度は、スイッチOTC医薬品によるセルフメディケーション推進の趣旨から設けられる制度です。

スイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)の概要
適用期間 平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間
対象者 健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組(※1)を行う居住者
(※1) 「一定の取組」……医師の関与がある次の検診等又は予防接種
(1)特定健康診査、(2)予防接種、(3)定期健康診断、(4)健康診査、(5)がん検診
対象支出 自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る一定のスイッチOTC医薬品の購入の対価
控除額
その年中に
支払った額
保険金等の額(※2) − 12,000円  (88,000円が限度)
(※2) 保険金等の額……保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額
(注1)  スイッチOTC(Over the Counter)医薬品……医療用から転用(スイッチ)された一定の一般用医薬品等で医師の処方箋がなくても購入できるものです。OTCは、カウンター越しの対面販売という意味です。
(注2)  セルフメディケーション……世界保健機構(WHO)において、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義されています。
(注3)  本特例の適用を受ける場合には、現行の医療費控除の適用を受けることはできません。

参 考 現行の医療費控除
適用期間 制限なし
対象者 居住者
対象支出 自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費
控除額 (その年中に支払った額 −(1))− (2)
(1)保険金などで補てんされる金額
(2)10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等×5%)

■対象となる医薬品(医療用から転用された医薬品:スイッチOTC医薬品)について
スイッチOTC医薬品の成分数:82(平成27年12月1日時点)
  対象となる医薬品の薬効の例:かぜ薬、胃腸薬、鼻炎用内服薬、水虫・たむし用薬、肩こり・腰痛・関節痛の貼付薬
(注) 上記薬効の医薬品の全てが対象となるわけではない
  具体的な対象医薬品の範囲等は、税制改正法案成立後、関係者と協力して周知を行っていく。

本特例措置を利用する時のイメージ
課税所得400万円の者が、対象医薬品を年間20,000円購入した場合(生計を一にする配偶者その他の親族の分も含む)
「平成28年度税制改正の参考資料(厚生労働省関係)」(厚生労働省HP)を基に作成

 

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