目次 I-6


6 欠損金の繰越控除制度の見直し等

 欠損金の繰越控除制度は、過去の事業年度において生じた欠損金額をその事業年度の翌事業年度以降に繰り越し、所得金額から控除する制度です。平成27年度改正の影響が平準化されます。

(1)繰越控除限度額の段階的引下げに関する見直し

 平成27年度税制改正において、大法人の青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越控除制度及び連結欠損金の繰越控除制度は、それぞれ、繰越控除限度額の段階的な引下げ措置が講じられましたが、影響を平準化するために次のとおり見直されます。

事業年度開始日 控除限度割合
平成27年度税制改正後 改 正 案
平成27年4月1日〜 平成28年3月31日 100分の65 100分の65
平成28年4月1日〜 平成29年3月31日 100分の65 100分の60
平成29年4月1日〜 平成30年3月31日 100分の50 100分の55
平成30年4月1日以降 100分の50 100分の50
(注) 中小法人等の控除限度割合は、改正されていませんので「100分の100」のままです。


(2)繰越期間等延長の適用開始時期の延期

 平成27年度税制改正において講じられた次の繰越期間等の延長措置(平成29年4月1日から施行予定)について、適用開始時期が1年先送りされます。つまり、次の措置は平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額について適用することとされます。

青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越期間及び連結欠損金の繰越期間を10年(現行:9年)に延長する措置
青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越控除制度及び連結欠損金の繰越控除制度の適用に係る帳簿書類の保存要件における保存期間を10年(現行:9年)に延長する措置
法人税の欠損金額に係る更正の期間制限を10年(現行:9年)に延長する措置
法人税の欠損金額に係る更正の請求期間を10年(現行:9年)に延長する措置


(3)欠損金繰戻し還付制度の不適用措置の期間延長

 中小企業者等以外の法人の欠損金の繰戻しによる還付制度の不適用措置の適用期限が、2年延長されて、平成30年3月31日までに終了する事業年度までとされます。

改正

影響
 一定の中小法人等、一定の再建中の法人、新設法人については、繰越控除限度額に制限はなく、改正の影響はありません。
 大法人で繰越欠損金のある法人は、将来の資金計画や事業計画に影響があります。

 

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