目次 III-1


III.所得税制はここが変わる!

1 NISAの拡充(ジュニアNISAの創設等)

【1】ジュニアNISAの創設

 若年層への投資のすそ野の拡大等を図るため、「未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置」(ジュニアNISA)が創設されます。

(1)非課税措置の概要

 居住者等が、未成年者口座((2)参照)に設けた次に掲げる勘定の区分に応じそれぞれ次に定める期間内に支払を受けるべき当該勘定において管理されている上場株式等の配当等(その未成年者口座において支払を受けるものに限ります。)及びその期間内に譲渡した当該上場株式等の譲渡所得等については、所得税が課されません。

非課税管理勘定 その非課税管理勘定を設けた日から同日の属する年の1月1日以後5年を経過する日までの期間
継続管理勘定 その継続管理勘定を設けた日からその未成年者口座を開設した者がその年1月1日において20歳である年の前年12月31日までの期間

 上記イの非課税管理勘定は、平成28年から平成35年までの各年(その未成年者口座を開設している者が、その年1月1日において20歳未満である年及び出生した日の属する年に限ります。)に設けることができることとされ、毎年80万円を上限に、新たに取得した上場株式等及び同一の未成年者口座の他の非課税管理勘定から移管される上場株式等を受け入れることができます。

 上記ロの継続管理勘定は、平成36年から平成40年までの各年(その未成年者口座を開設している者がその年1月1日において20歳未満である年に限ります。)に設けることができることとされ、毎年80万円を上限に、同一の未成年者口座の非課税管理勘定から移管される上場株式等を受け入れることができます。

(注)  上記の80万円の上限は、新たに取得した上場株式等についてはその取得対価の額により、他の非課税管理勘定から移管がされる上場株式等についてはその移管の時の価額(時価)により判定されます。

(2)未成年者口座

未成年者口座とは、居住者等(その年1月1日において20歳未満である者及びその年に出生した者に限ります。)が、本特例の適用を受けるため、金融商品取引業者等の営業所の長に対し、その者の氏名、住所及び個人番号等を記載した未成年者口座開設届出書に未成年者非課税適用確認書を添付して提出することにより平成28年から平成35年までの間に開設した口座(1人につき1口座に限ります。)をいいます。
未成年者口座で管理されている上場株式等につき支払を受ける配当等及びその上場株式等を譲渡した場合におけるその譲渡代金等については、課税未成年者口座において管理されなければなりません。
未成年者口座を開設した居住者等は、その未成年者口座を開設した日から居住者等がその年3月31日において18歳である年(以下「基準年」といいます。)の前年12月31日までの間は、その口座内の上場株式等を払い出すときは、同人の課税未成年者口座(注)にのみ払い出すことができます。
ただし、その居住者等が、その居住する家屋が災害等の事由に基因してその未成年者口座及び課税未成年者口座内の上場株式等及び金銭の全てを払い出す場合は、この限りでありません。
(注)  課税未成年者口座とは、居住者等が未成年者口座を開設している金融商品取引業者等の営業所(当該金融商品取引業者等の関連会社の営業所を含みます。)に開設した特定口座、預貯金口座又は預り金の管理口座をいいます。
 課税未成年者口座内の上場株式等及び預貯金等は、その課税未成年者口座を開設した居住者等の基準年の前年12月31日までは、その資金を未成年者口座における投資に用いる場合を除き、その課税未成年者口座から払い出すことはできません。
 ただし、その居住者等の災害等の事由に基因してその課税未成年者口座及び未成年者口座内の上場株式等及び金銭の全てを払い出す場合は、この限りではありません。

(3)払出制限について要件違反があった場合の取扱い

未成年者口座及び課税未成年者口座を開設した居住者等が、基準年の前年12月31日までに、これらの口座内の上場株式等及び預貯金等をこれらの口座から払出しをした場合には、その払出しがあった日において上場株式等の譲渡又は配当等の支払があったものとして、譲渡益等に相当する金額に対して15%(他に地方税5%)の税率により源泉徴収が行われます。
上記イにより源泉徴収された上場株式等に係る譲渡所得等の金額は、確定申告不要制度が適用できます。

(4)年間取引報告書の税務署長への提出

 金融商品取引業者等は、未成年者口座においてその年中に生じた上場株式等の配当所得の金額及び譲渡所得等の金額その他の事項について報告書を作成し、これを翌年1月31日までに、税務署長に提出しなければなりません。

(5)非課税口座(NISA口座)への移管等

その年1月1日において20歳である居住者等が同日に未成年者口座を開設している場合には、同日以後は、その未成年者口座が開設されている金融商品取引業者等の営業所にその居住者等の非課税口座が開設されたものとみなされます。
金融商品取引業者等の営業所に開設されている未成年者口座の非課税管理勘定又は継続管理勘定において管理されていた上場株式等は、同一の金融商品取引業者等の営業所に開設されている非課税口座に移管できることとされます。

ジュニアNISAのイメージ
(出典:金融庁「平成27年度税制改正について」)

適用期日 この制度は、平成28年1月1日以後に未成年者口座の開設の申込みがされ、同年4月1日からその未成年者口座に受け入れる上場株式等について適用されます。ただし、これらの日が、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律附則第1条第4号に定める日前となる場合には、同日からとされます。


【2】既存NISAの投資上限額の引上げ等

 「非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置」(NISA)について、次の措置が講じられます。

(1)  非課税口座に設けられる各年分の非課税管理勘定に受け入れることができる上場株式等の取得対価の額の限度額が、120万円(現行100万円)に引き上げられます。

適用期日 (1)の改正は、平成28年分以後の非課税管理勘定について適用されます。

(2)  非課税適用確認書の交付申請書の記載事項等の金融商品取引業者等の営業所の長から所轄税務署長への提供方法について、光ディスク等を提出する方法が廃止され、電子情報処理組織(e−Tax)を使用する方法に一本化されます。

 

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