【1】改正のねらい
訪日外国人による日本での買物の消費額は増加傾向(注)にあり、その需要を取り込むため、商店街等において、各免税店が第三者に免税手続を委託(ワンストップ化)することを可能とすることにより、各店舗での手続負担を大幅に軽減することが改正のねらいです。現行制度では、免税販売を行う場合、個別店舗ごとに免税手続を行う必要がありますが、この改正により、外国人対応について、語学力等の不安がある地方の中小企業等も含め、免税店の拡大が見込まれます。
(注) |
平成26年度税制改正により、平成26年10月1日以後に行われる免税販売の対象物品に消耗品(食品類、飲料類、薬品類、化粧品類、その他の消耗品)が追加されています。 |
【2】改正の概要
外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売場制度)について、次の見直しが行われます。
(1)手続委託型輸出物品販売場制度の創設
イ |
輸出物品販売場について、その販売場における全ての免税販売手続を免税手続カウンター(下記ロの許可を受けた物的施設をいいます。)を設置する事業者に代理させることを前提とした許可制度が創設されます。 |
ロ |
他の事業者が経営する販売場における免税販売手続の代理をしようとする事業者(課税事業者に限ります。)は、その販売場が所在する次に掲げる場所に設けた物的施設において免税販売手続を行うことについて、納税地を所轄する税務署長の許可を受けるものとされます。
(イ) |
その販売場が商店街振興組合の組合員が経営する販売場であるときは、その組合の定款に定められた地区 |
(ロ) |
その販売場が中小企業等協同組合法上の組合の組合員が経営する販売場であるときは、その組合員が形成する一の商店街 |
(ハ) |
その販売場が大規模小売店舗内にあるときは、その大規模小売店舗の施設 |
(ニ) |
その販売場が一棟の建物内にあるとき(上記(ハ)に該当する場合を除きます。)は、その建物 |
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ハ |
免税手続カウンターにおいて、免税販売手続を代理する複数の販売場の販売金額を一般物品と消耗品の別に合計している場合には、免税販売の対象となる下限額をその合計額でそれぞれ判断するものとされます。 |
免税販売を行う場合、個別店舗ごとに免税手続を行う必要がある。 |
○ |
商店街やショッピングセンター等において、各店舗の事業者が行う免税販売に係る手続を第三者に委託(ワンストップ化)することを可能とする制度を創設する。 |
○ |
免税手続を委託している複数店舗での購入額を合算して、免税販売の対象とすることを可能とする。 |
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店舗における負担を軽減するとともに、外国人観光客等が個々の店舗毎に免税手続を行う煩雑さが解消され、免税制度の利用が促進される。 |
(出典:経済産業省「平成27年度 経済産業関係 税制改正について」)
(2)外航クルーズ船が寄港する港湾での輸出物品販売場に係る届出制度の創設
外航クルーズ船が寄港する港湾の港湾施設内に場所及び期限を定めて臨時販売場を設置しようとする事業者(既に輸出物品販売場の許可を受けている事業者に限ります。)が、あらかじめ臨時販売場を設置する見込みである港湾施設につき納税地を所轄する税務署長の許可を受けている場合において、その設置日の前日までに輸出物品販売場を設置する旨の届出書を納税地を所轄する税務署長に提出したときは、その臨時販売場を輸出物品販売場とみなす制度が創設されます。
適用期日 |
上記(1)(2)の改正は、平成27年4月1日以後に行われる輸出物品販売場等の許可申請又は同日以後に行われる課税資産の譲渡等について適用されます。 |
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