【1】法人税改革の枠組み
法人税改革の枠組みについては、与党の「平成27年度税制改正大綱」において、「平成27年度を初年度とし、以後数年で、法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指す」とされています。また、「その際、2020年度の基礎的財政収支黒字化目標との整合性を確保するため、制度改正を通じた課税ベースの拡大等により、恒久財源をしっかりと確保する」こととされています。
具体的には、税率引下げと課税ベースの拡大等の改革は、大きく分けて2段階で進められます。
第 1 段 階 |
平成27年度税制改正
欠損金繰越控除の見直し(2参照)、受取配当等益金不算入の見直し(3参照)、法人事業税の外形標準課税の拡大(4参照)、租税特別措置の見直し(5等参照)が行われます。これらの改革に当たっては、中小法人への影響に配慮して、大法人を中心に改革が行われます。また、賃上げへの配慮措置や中堅企業の負担増の軽減措置、改革を段階的に実施する等の激変緩和措置も講じられます。
法人税については、経済の好循環の実現を力強く後押しするために税率引下げを財源確保に先行させることとされ、平成27年度から、現行の25.5%から23.9%に引き下げられます。また、大法人向けの法人事業税所得割(地方法人特別税を含む。)については、外形標準課税の拡大にあわせて、現行7.2%の標準税率が、平成27年度に6.0%、平成28年度に4.8%に引き下げられます。これらにより、国・地方を通じた法人実効税率(現行34.62%)は、平成27年度に32.11%(▲2.51%)、平成28年度に31.33%(▲3.29%)となります。 |
第 2 段 階 |
平成28年度税制改正
課税ベースの拡大等により財源を確保して、平成28年度における税率引下げ幅の更なる上乗せが図られます。
平成29年度以後の税制改正
引き続き、法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指して、改革が継続されます。 |
■法人実効税率の引下げの概要
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現 行 |
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平成27年度 |
平成28年度 |
国の法人税率 |
25.5% |
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23.9% |
23.9% |
(参考)大法人向け法人事業税所得割
*地方法人特別税を含む
*年800万円超所得分の標準税率 |
7.2% |
6.0% |
4.8% |
(参考)国・地方の法人実効税率
<標準税率ベース> |
34.62% |
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32.11%
(▲2.51%) |
31.33%
(▲3.29%) |
(出典:経済産業省「平成27年度 経済産業関係 税制改正について」)
【2】法人税率の引下げ
法人税の税率が23.9%(現行25.5%)に引き下げられ、法人の平成27年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
【3】中小法人の軽減税率の特例等の延長
(1)中小法人の軽減税率の特例の延長
「中小法人の軽減税率の特例」(所得金額のうち年800万円以下の部分に対する税率:19%→15%)の適用期限が、平成29年3月31日まで2年延長されます。
(注) |
中小法人の軽減税率(19%)は、引き続き、中小法人課税全体の見直しの中で検討することとされています。 |
(2)公益法人等の軽減税率の特例の延長
「公益法人等の軽減税率の特例」(所得金額のうち年800万円以下の部分に対する税率:19%→15%等)の適用期限が、平成29年3月31日まで2年延長されます。
(注) |
公益法人等の軽減税率(19%等)は、引き続き、公益法人等課税全体の見直しの中で検討することとされています。 |
(3)協同組合等の軽減税率の特例の延長
「協同組合等の軽減税率の特例」(所得金額のうち年800万円以下の部分に対する税率:19%→15%等)の適用期限が、平成29年3月31日まで2年延長されます。
(注) |
協同組合等の軽減税率等(19%等)は、引き続き、協同組合等課税全体の見直しの中で検討することとされています。 |
■法人税率の概要
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現 行 |
改正案
平27.4.1以後
開始事業年度 |
普通法人・人格のない社団等 |
資本金1億円以下の法人及び 資本金を有しない法人 (相互会社を除く) |
年800万円以下 の部分 |
15%
(本則19%) |
15%(注2)
(本則19%) |
年800万円超の部分 |
25.5% |
23.9% |
資本金1億円超の法人及び相互会社 |
25.5% |
23.9% |
公益法人等 |
公益社団法人
公益財団法人
一般社団(財団)法人のうち 非営利型法人 |
年800万円以下の部分 |
15%
(本則19%) |
15%
(本則19%) |
年800万円超の部分 |
25.5% |
23.9% |
上記以外 |
年800万円以下の部分 |
15%
(本則19%) |
15%
(本則19%) |
年800万円超の部分 |
19% |
19% |
協同組合等(注1) |
年800万円以下の部分 |
15%
(本則19%) |
15%
(本則19%) |
年800万円超の部分 |
19% |
19% |
(注1) |
特定の協同組合等に対しては、所得金額のうち10億円を超える部分の金額について22%の税率が適用されます。 |
(注2) |
中小法人の軽減税率の特例(19%→15%)等については、平成29年3月31日までに開始する事業年度に適用されます。(【3】の(1)〜(3)参照) |
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