目次 I〈秋の大綱〉-1


I.法人税制はここが変わる!

〈秋の大綱【民間投資活性化等のための税制改正大綱】によるもの〉

1 生産性向上設備投資促進税制の創設

【1】創設された制度の概要

 青色申告法人が、産業競争力強化法の施行日(平成26年1月20日)から平成29年3月31日までの間に、次の【2】の対象設備に該当するもののうち、一定の規模以上のもの(【2】の(3)参照)の取得等をして、国内の事業の用に供した場合には、その取得価額の50%(建物及び構築物は25%)の特別償却とその取得価額の4%(建物及び構築物は2%)の税額控除との選択適用ができることとされます。ただし、税額控除における控除税額は、当期の法人税額の20%が上限とされます。

 なお、平成26年1月20日から平成28年3月31日までの間に取得等をしたものについては、その普通償却限度額との合計でその取得価額までの特別償却(即時償却)とその取得価額の5%(建物及び構築物は3%)の税額控除との選択適用ができることとされます。この制度は、所得税も同様に措置されます。

■特例の内容
  平成26年1月20日から
平成28年3月31日までの取得等
平成28年4月1日から
平成29年3月31日までの取得等
特別償却 取得価額−普通償却限度額
即時償却
取得価額×50%
※建物・構築物は取得価額×25%
税額控除 取得価額×5%
※建物・構築物は取得価額×3%
取得価額×4%
※建物・構築物は取得価額×2%
(注)税額控除は、当期の法人税額の20%が上限。


【2】適用対象設備

 対象設備は、生産等設備((1)参照)を構成する機械装置、工具、器具備品、建物、建物附属設備、構築物及びソフトウエアで、生産性向上設備等((2)参照)に該当するもののうち、一定の規模以上のもの((3)参照)です。

(1)生産等設備

 生産等設備とは、その法人の事業の用に直接供される減価償却資産で構成されているものをいいます。なお、本店、寄宿舎等の建物、事務用器具備品、福利厚生施設等は該当しません。

(2)生産性向上設備等

 生産性向上設備等とは、「先端設備」(【A】参照)及び「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」(【B】参照)として産業競争力強化法に規定するものをいいます。

【A】先端設備

 先端設備とは、「先端性に係る設備要件」を満たす次の機械装置、工具、器具備品、建物、建物附属設備及びソフトウエアをいいます。

減価償却資産の種類 対象となるものの用途・細目
機械装置 (限定なし)
工具 ロール
器具備品(ホについては、中小企業者等が取得等をするものに限ります。)
 陳列棚及び陳列ケースのうち、冷凍機付又は冷蔵機付のもの
 冷房用又は暖房用機器
 電気冷蔵庫、電気洗濯機その他これらに類する電気又はガス機器
 氷冷蔵庫及び冷蔵ストッカー(電気式のものを除きます。)
 電子計算機(サーバー(ソフトウエア(OS)を同時に取得するものに限ります。)に限ります。)
 試験又は測定機器
建物 断熱材及び断熱窓
建物附属設備 イ 電気設備(照明設備を含みます。)のうちその他のもの
ロ 冷房、暖房、通風又はボイラー設備
ハ 昇降機設備
ニ アーケード又は日よけ設備(ブラインドに限ります。)
ホ イ〜ニ以外のその他のもの(日射調整フィルムに限ります。)
ソフトウエア(中小企業者等が取得等をするものに限ります。) 設備の稼働状況等に係る情報収集機能及び分析・指示機能を有するもの

 なお、「先端性に係る設備要件」は、次のイ及びロのいずれにも該当することとされます。

最新モデル(機械装置:10年以内、工具:4年以内、器具備品:6年以内、建物及び建物附属設備:14年以内、ソフトウエア:5年以内に、それぞれ販売が開始されたもので最も新しいモデル。ただし、販売開始年度が取得等をする年度及びその前年度であるモデルを含みます。)であること。
旧モデル比で生産性(単位時間当たりの生産量、精度、エネルギー効率等)が年平均1%以上向上するものであること。
(注1) 機械装置のうち中小企業者等が取得等をするソフトウエア組込型機械装置における上記イは、10年以内に販売が開始されたもので最新モデル及びその最新モデルの1つ前のモデルとされ、ソフトウエアには、上記ロは付さないこととされます。
(注2) 設備メーカーが工業会等においてイ・ロの要件を満たすものであることを確認し、工業会等が証明書を発行することが基本的な枠組みとなっています。

【B】生産ラインやオペレーションの改善に資する設備

 「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」とは、「生産性の向上に係る要件」(投資計画における投資利益率が15%以上〔中小企業者等は5%以上〕であること)を満たすことにつき経済産業局の確認を受けた投資計画に記載された機械装置、工具、器具備品、建物、建物附属設備、構築物及びソフトウエアをいいます。
(注) 上記の要件を満たすものであることについて、税理士・公認会計士の事前確認を受けたのち、経済産業局の確認書が必要となります。

(3)一定の規模以上のもの(最低取得価額)

 一定の規模以上のものとは、それぞれ次のものをいいます。

種 類 金 額
機械装置 1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの
工具及び器具備品 それぞれ1台又は1基の取得価額が120万円以上のもの(それぞれ1台又は1基の取得価額が30万円以上で、かつ、一事業年度におけるその取得価額の合計額が120万円以上のものを含みます。)
建物、建物附属設備及び構築物 それぞれ一の取得価額が120万円以上のもの(建物附属設備については、一の取得価額が60万円以上で、かつ、一事業年度におけるその取得価額の合計額が120万円以上のものを含みます。)
ソフトウエア 一の取得価額が70万円以上のもの(一の取得価額が30万円以上で、かつ、一事業年度におけるその取得価額の合計額が70万円以上のものを含みます。)

適用期日 上記の措置は、平成26年4月1日前に終了する事業年度において平成26年1月20日から平成26年3月31日までの間に対象資産の取得等をした場合には、平成26年4月1日を含む事業年度において、特別償却相当額又は税額控除相当額の償却又は控除ができることとされます。

 

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