目次 税制構築法(平成23年12月改正)による改正 VIII-1


VIII.ここが変わった!ことしの納税環境整備税制

税制構築法(平成23年12月改正)による改正

1 更正の請求期間の延長等

【1】更正の請求期間の延長

 納税者がする更正の請求について、請求をすることができる期間が原則として5年(改正前1年)に延長されました。(通法23)


(注)  平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来する国税で、更正の請求の期限を過ぎた課税期間については、増額更正ができる期間内に「更正の申出書」の提出があれば、調査によりその内容が検討され、納めすぎの税金があると認められた場合には、減額の更正が行われることになります(ただし、申出のとおり更正されない場合であっても、不服申立てすることはできません。)。


【2】増額更正の期間制限の延長

 上記の改正に併せ、課税庁がする増額更正の期間制限について、原則として5年(改正前3年)に延長されました。(通法70関係)


適用期日 これらの改正は、平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税について適用されます。


【3】更正の請求範囲の拡大等

 当初申告の際、申告書に適用金額を記載した場合に限り適用が可能とされていた措置のうち、一定の措置については、更正の請求により適用を受けることも、修正申告を行う際に同時に適用を受けることも可能になりました。


■当初申告要件が廃止された措置
【所得税関係】
 ・ 給与所得者の特定支出の控除の特例(所法57の2)
 ・ 保証債務を履行するために資産を譲渡した場合の所得計算の特例(所法64)
 ・ 純損失の繰越控除(所法70)
 ・ 雑損失の繰越控除(所法71)
 ・ 変動所得及び臨時所得の平均課税(所法90)
 ・ 外国税額控除(所法95)
 ・ 資産に係る控除対象外消費税額等の必要経費算入(所令182の2)
【法人税関係】
 ・ 受取配当等の益金不算入(法法23、81の4)
 ・ 外国子会社から受ける配当等の益金不算入(法法23の2)
 ・ 国等に対する寄附金、指定寄附金及び特定公益増進法人に対する寄附金の損金算入(法法37、81の6)
 ・ 会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入(法法59)
 ・ 協同組合等の事業分量配当等の損金算入(法法60の2)
 ・ 所得税額控除(法法68、81の14)
 ・ 外国税額控除(法法69、81の15)
 ・ 公益社団法人又は公益財団法人の寄附金の損金算入限度額の特例(法令73の2)
 ・ 引継対象外未処理欠損金額の計算に係る特例(法令113)
 ・ 特定株主等によって支配された欠損等法人の欠損金の制限の5倍要件の判定の特例(法令113の2)
 ・ 特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入の対象外となる資産の特例(法令123の8)
 ・ 特定資産に係る譲渡等損失額の計算の特例(法令123の9)
【相続税・贈与税関係】
 ・ 配偶者に対する相続税額の軽減(相法19の2)
 ・ 贈与税の配偶者控除(相法21の6)
 ・ 相続税における特定贈与財産の控除(相令4)

 また、当初申告の確定申告書等に適用金額を記載した場合等に限り適用を受けることができる制度のうち税額の一定額を上限とする制度の一部について、確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に、適用対象となる費用等の額、適用金額等を記載した書類を添付した場合に限り、確定申告書等に添付された書類に記載された適用対象となる費用等の額を基礎として計算した金額に係る控除を受けることができることとされました。


【4】「事実を証明する書類」の添付義務の明確化

 更正の請求に際しては、更正の請求の理由の基礎となる、「事実を証明する書類」の添付が必要となることが明確化されました。

適用期日 この改正は、平成24年2月2日以後に行う更正の請求から適用されます。


【5】 偽りの記載をして更正の請求書を提出した者に対する罰則の創設

 偽りの記載をした更正請求書を提出した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処することとされました。(通法127関係)

適用期日 この改正は、公布の日(平成23年12月2日)から起算して2か月を経過した日(平成24年2月2日)以後に行う更正の請求から適用されます。

 

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