目次 税制構築法(平成23年12月改正)・復興財源確保法による改正 II-3


3 欠損金の繰越控除の使用制限

【1】大法人の繰越欠損金の控除限度額が80%に制限 (法法57、58、59、81の9)

 この欠損金の繰越控除制度は、特定の期に税務上の欠損金が発生した場合、その欠損金を繰り越し、翌期以降の課税所得と相殺することで税負担が軽減される制度(改正前7年間)です。

 平成23年12月改正では、法人税率が引き下げられる一方で、課税ベースの拡大が行われ、さらに、大法人に限り、繰越欠損金の控除限度額が80%に制限されます。


 ただし、次の(1)から(3)の中小法人等は、改正前の控除限度額の100%がそのまま存置されます。

(1)  中小法人等については、改正前の控除限度額が存置されます。
(注)中小法人等とは、次の法人をいいます。
(1) 普通法人のうち、各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの又は資本若しくは出資を有しないもの(相互会社等、相互会社等の100%子法人及び資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人の100%子法人を除きます。)
(2) 公益法人等
(3) 協同組合等
(4) 人格のない社団等

(2)  特定目的会社、投資法人、特定目的信託に係る受託法人及び特定投資信託に係る受託法人で、支払配当等の損金算入制度の適用対象となるものについては、改正前の控除限度額がそのまま存置されます。

(3)  会社更生等による債務免除等があった場合について改正前どおり欠損金の損金算入ができるようにする等の所要の整備が行われます。

適用期日 これらの改正は、平成24年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
なお、平成24年4月1日前に更生手続開始の決定、再生手続開始の決定を受けたこと等の事実が生じた法人(連結納税の場合には、連結親法人)については、その決定等の日から更生計画認可の決定、再生計画認可の決定等の日以後7年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度については、経過措置として、改正前の控除限度額が存置されます。


【2】欠損金の繰越控除の2年延長

 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越期間及び連結欠損金の繰越期間が9年(改正前7年)に延長されます。この延長の措置は、大法人と中小法人等と の区別なく適用されます。


 なお、これらの改正に伴い、次の措置が講じられます。

(1)  青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越控除制度及び連結欠損金の繰越控除制度について、その欠損金が生じた事業年度の帳簿書類の保存が適用要件とされます。

(2)  法人税の欠損金額に係る更正の期間制限が9年(改正前7年)に延長されます。

(3)  法人税の欠損金額に係る更正の請求期間が9年とされます。

適用期日 上記(1)及び(2)の改正は、平成20年4月1日以後に終了した事業年度において生じた欠損金額について適用され、上記(3)の改正は、平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する法人税について適用されます。

参考  繰越控除の縮減延長
繰越控除の縮減延長

 

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