目次 税制構築法(平成23年12月改正)・復興財源確保法による改正 II-1


II.ここが変わる!ここが変わった!ことしの法人税制

税制構築法(平成23年12月改正)・復興財源確保法による改正

1 法人税率等の引下げと復興特別法人税の導入

【1】法人税率等の引下げ

 「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律(税制構築法)」が、平成23年11月30日に可決・成立し、12月2日に公布されました。これにより、当初の平成23年度税制改正法案のうち、同年6月改正で成立せず、積み残しとなっていた法人税制の改正と納税環境整備の改正が成立しました。法人税制では、法人税率の引下げ、法人課税ベースの拡大等が行われました。

参考  税制構築法(平成23年12月改正)で成立した項目
(23年度税制改正法案の扱いについて(平成23年11月10日民主党・自由民主党・公明党税制調査会長))
税制構築法(平成23年12月改正)で成立した項目

 この改正により、法人税率は、30%から25.5%に引き下げられることになりました。



■平成23年12月改正による実効税率


  法人実効税率(外形標準課税適用法人の例)
改正前
平成23年
12月改正
復興特別
法人税の
導入

参考  法人実効税率
 法人実効税率とは、法人事業税及び地方法人特別税が損金算入されることを調整した上で、法人税、法人住民税、法人事業税(所得割)、地方法人特別税の税率(法人事業税及び地方法人特別税については、外形標準課税の対象となる資本金1億円超の法人に適用される税率)を合計したものです。法人税率(国税)を4.5%引き下げた上で法人住民税率(地方税)を維持することにより、法人実効税率は、国税と地方税を合わせて5.05%(東京都)下がり、現行の40.69%(東京都)が35.64%となります。なお、5.05%の内訳は、法人税分が4.18%、法人住民税分(東京都)が0.87%です。


【2】復興特別法人税の導入

―平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度―

 平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度について各課税事業年度の基準法人税額(所得税額控除等を適用しない場合の法人税の額)に10%の税率を乗じた復興特別法人税が課されることとなりました。

復興特別法人税
(1)  平成23年12月改正(法人実効税率の引下げ+課税ベース拡大)の実施とセットで、基準法人税額に対して10%の時限的な付加税が創設されます。
(2)  3年間(平成24年4月1日から平成27年3月31日までの期間内に開始する事業年度)の措置とされます。
(3)  課税標準は基準法人税額とし、納税義務者は法人税の納税義務者と同じとされます。
基準法人税額:各事業年度の所得に対する法人税の額(特定同族会社の特別税率、所得税額控除、 外国税額控除等を適用しない場合の法人税の額)

 この影響により、上記【1】の平成23年12月改正により、ひとたび30%から25.5%に引き下げられた法人税率が、平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度までについては、復興特別法人税率を加算することで、28.05%(25.5%×10%=2.55%を加算)となります。

 このため、法人税の実効税率は、当初の予定では40.69%から35.64%に引き下げられるはずでしたが、38.01%となり、税率引下げによる恩恵を100%受け るのは平成27年4月以後開始する事業年度からとなり、それまでは2%程度の税率低下に留まることとなります。


■改正後の法人税率イメージ (参考:平成24年度税制改正・財務省資料)
改正後の法人税率イメージ(参考:平成24年度税制改正・財務省資料)


【3】中小法人の軽減税率等の引下げ

 平成23年12月改正により、中小法人の軽減税率も18%から15%に引き下げられることになりました。


中小法人
軽減税率
改正前 平成23年12月改正後 復興法人特別税加算後
18% 15% 16.5%

 復興特別法人税は中小法人にも加算されます。中小法人の軽減税率も、平成23年12月改正でいったん3%引き下げられましたが、復興特別法人税が加算されることにより、平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度までについては、16.5%(15%×10%=1.5%を加算して計算した理論値)となりました(注)。

 したがって、実際に、15%に引き下げられるのは、平成27年4月以降開始する事業年度からとなります。

(注)  実際に用いられる税率は、法人税率が15%、復興特別法人税率が10%であり、16.5%の税率は使われません。


■改正後の中小法人軽減税率イメージ (参考:平成24年度税制改正・経済産業省資料)
改正後の中小法人軽減税率イメージ(参考:平成24年度税制改正・経済産業省資料)


■法人税率の引下げの流れ
  平成24.3.31開始事業年度まで(改正前) 平成24.4.1開始事業年度から(平成23年12月改正) 平成24.4.1〜平27.3.31開始事業年度
(復興特別法人税加算後)
年800万円
超部分
年800万円
以下部分
年800万円
超部分
年800万円
以下部分
年800万円
超部分
年800万円
以下部分
普通法人 30% 25.5% 28.05%
中小法人 30% 本則22%
(18%)
25.5% 本則19%
(15%)
28.05% 本則20.9%
(16.5%)
公益法人等、協同組合等及び特定の医療法人(単体) 22% (18%) 19% (15%) 20.9% (16.5%)
協同組合等及び特定の医療法人(連結) 23% (19%) 20% (16%) 22% (17.6%)
特定の協同組合等の特例税率(年10億円超) 26% 22% 24.2%
(注)1  中小法人には、一般社団法人等及び人格のない社団等を含みます。
 「復興特別法人税加算後」の税率は、理論値で、実際に用いられる税率ではありません。

適用期日  「改正前」欄のカッコ内は、租税特別措置法により平成21年4月1日から平成24年3月31日までの間に終了する事業年度に適用されます。
 「平成23年12月改正」「復興特別法人税加算後」欄のカッコ内は、租税特別措置法により平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度に適用されます。
 なお、中小法人、公益法人等、協同組合等及び特定の医療法人の平成24年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度については、経過措置として改正前の租税特別措置法による税率が適用されます。(税制構築法附52)

 

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